今年度はインド・アーリア語のうち『リグ・ヴェーダ』期のサンスクリット語とパーニニの文法に記述されたサンスクリット語の調査を進めた。特にサンスクリット語の7格が名詞句を修飾していると見られる用例を収集し、それが直接名詞句によって支配されているかを検証し、名詞句を修飾する7格の用法が『リグ・ヴェーダ』の時代のサンスクリット語においては未発達であることを発見した。その成果はいまだ未発表であるが、Festschrift for Stephanie Jamison 上で公表する予定である。また現代インド・アーリア語ではボージプリー語の現地調査を行い、その形態法が、従来言われていたようにサダーニー語と必ずしも同一方言を形成するものでなく、独自の変化を経ていることを確認した。その成果は「東京大学言語学論集」35号に投稿中である。
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