メタ言語能力を活用した科学教育の可能性についての研究にあたって、メタ言語能力の発達についての調査を継続した。 1 メタ言語能力の発達に関する文献を調査した。その結果、「メタ言語能力」「メタ言語意識」などの名称で呼ばれている、言語知識を客観的に捉える力についての考えが研究者間にばらつきがあることが判明した。本研究の結論として、「内部言語(I-language)の構造と機能を捉えるメタ認知」を得た。また、それには数層のレベルがあることが判明した。 2 言語発達に比べ個人差が大きいながらも、一定の型が観察された。まず、3歳児ごろまでにはメタ言語能力の萌芽が見られ、学齢期までにはメタ的判断について、言語による一定の理由づけもできるようになる。小学校期は音韻、形態、統語、談話の各レベルで、メタ言語能力が著しく発達することが明らかとなった。 3 科学教育の現状に関する調査により、科学教育はほぼ「自然科学」の領域を対象としたものに限られており、言語知識を利用したものはないに等しいことがわかった。この結果を受け、研究代表者の研究室で訪問研究員として検収を行っている高等学校教諭3名(いずれも国語科教員)の助言を受けつつ、教材の開発を行い、小学生、中学生、高校生を対象にその一部を実際に用いて模擬授業を行なった。教材の一部は近いうちに出版の予定である。
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