本研究では方言変異が基本的には言語一般で働いているメカニズムと同じものによって作り出されるという仮説にもとづき、どのような統語的性質が方言変異を生み出すかを明らかにしようと試みた。実証研究として、奄美大島の喜界島で話されている喜界語をとりあげ、分析をおこなった。その結果、補文標識削除、N’削除、格パターンが方言変異を生み出す上で、重要な役割を演じることがわかった。言語間の差異と微少差異はそれほど大きく異なるものではなく、言語間差異をあらわす規則や原理は同時に微少差異である方言変異にもはたらいているというメカニズムが考えられる。これによりより説明力の高い言語理論の構築が可能となるであろう。
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