本研究は、若者のネット・ケータイによる情報行動における、若者語やネット用語の使用状況・使用意識、コミュニケーションの志向性などに基づいて、若者の情報行動に関する新たな理論提示を目的としたもので、異なる状況下にある若者の対照研究が必須であり、中国の若者との対照研究を通じて目的を達しようとした。研究期間中に下記の実績を上げることができた。 (1)日本国内の東京・大阪・広島でのネット用語調査を通じて、その広がり方や使用意識の地域差を確認できた。東京での広がり方がもっともはやく、広島が遅いこと、また、大阪では、受け入れる語に、他地域では見られない傾向性があることなど、時空を超えるものと思われがちなネット用語の広がり方にあきらかな地域性が確認できた。さらに、南京大学の王玲氏が南京市で実施した同様の調査により、中国でのネット用語の使用実態・使用意識との対照ができた。 (2)2013年3月にバンコクで開催された第一回アジア未来会議(AFC)でセッションを設け、日本側4名、中国側5名が発表し、アジア各国の参加者とともに、ネット用語について議論し、問題意識を共有できた。 (3)2013年8月に、広島市で第11回都市言語研究国際シンポジウムを、「メディアと言語」を主テーマとして実施した。国内外から約90名の参加があり、ネット用語や若者の情報行動について議論し、新たな研究ネットワークが構築できた。 (4)『打ち言葉の世界』(仮称)の出版計画があり、内容について議論をすすめている。
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