研究課題/領域番号 |
23652101
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研究機関 | 関東学園大学 |
研究代表者 |
小池 康 関東学園大学, 経済学部, 講師 (70334018)
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キーワード | 日本語史 / 日本語学 |
研究概要 |
本研究は、日本語史研究の新たな方法論的視点としての「変遷パタン・モデル」を用いて、明治期から現代に至るまでの日本語表現を分析・考察することを目的としている。平成24年度の「研究計画」は、<1.先行研究の収集とパタン・モデルの適用可能性の検証>と<2.文献資料の収集>を主としたものであった。 1の成果としては、研究計画に記載した、依頼表現・可能表現・条件表現・とりたて表現の基本的先行文献を収集することができ、また前年度の研究対象であった推量表現に関する文献も種々収集することができた。また、対象とする時期を明治期以降としているが、言語の変遷を扱う上では不可避的にそれ以前の江戸時代や室町時代を対象とした言語研究も参照する必要性が出てきたため、それらに関する文献も適宜収集するように努めた。また、日本語以外の言語の変化・変遷研究からも、より多角的な考察を進める上でのヒントが得られると考えられることから、これらの文献も入手するよう努めた。 このように、今年度は、本研究の対象とする諸表現に関する先行研究の資料的な拡充を図ることができたと言える。その反面、先行研究資料の選定・収集に重きを置いてしまった結果、パタン・モデルの適用可能性の有無(もしくは是非)に関する考察はそれほど進めることはできなかった。しかし、そのような中でも、上述の各種表現の中にパタン・モデルが適用可能な様相を窺い知ることができたので、次年度以降はそれらの解明に主力を置いていきたいと考えている。 次に、2に関する成果としては、前年度において主に2000年代のベストセラー小説を収集できたことから、本年度はこれらの文字データ化を進めた。ただ、書籍の裁断・スキャニング・誤字脱字のチェック等を一人で行なったため、数的には多くはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画(1.先行研究の収集とパタン・モデルの適用可能性の検証、2.文献資料の収集)に沿って報告する。 本研究が「遅れている」と判断される理由の一つは、先行研究において本研究に直接的に資する研究内容のものがあるか否かの精査に時間が取られてしまったことが挙げられる。結果的には、事象の記述という側面では本研究に関連する内容の研究が見い出せたものの、解釈や分析においては本研究の参考となるものはそれほど見当たらなかったと言っても過言ではなく、その点で結果的に時間を費やしてしまったと言える。とは言うものの、その精査の過程は本研究を遂行する上で必要欠くべからざるものでもあることも理解を賜わりたい。 2に関しては、小説等の分析の対象となる資料の収集も進められた一方、「コーパス化」については大きな進展は見られなかった。その理由としては、書籍の裁断・スキャニング・誤字脱字のチェック等を一人で行なったため、数的には多くはできなかった。これは、本研究者の本務校の学生に対して作業補助を募集したのだが集まらず、また学生個人の資質においても必ずしも信頼に足るものとは見なせなかった為、結果的に一人で行なうより他に方法がなかったということが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、文献調査に基づく性質のものであるため、今後も日本語史・日本語学関連の研究書および論文等の収集に努めたい。また、データとなる文献資料の収集も、これまでの小説類と共に雑誌や新聞等も拡充していくつもりである。 また、これまでの調査結果を踏まえ、複数の論文を執筆する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
基本的には書籍購入(文献複写を含む)を重点的に行なうが、統計学的な分析を取り入れる必要性を感じているので、それに関連した器材の購入も計画している。 また、今後の研究遂行のためにも他の研究機関所属の研究者との交流を深めるべく、ミーティングなどを行なう考えである。
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