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2012 年度 実施状況報告書

エスチュアリ英語の拡がりが及ぼす英語意識の変容を探る

研究課題

研究課題/領域番号 23652106
研究機関群馬大学

研究代表者

柴田 知薫子  群馬大学, 教育学部, 准教授 (10296204)

研究分担者 渡部 孝子  群馬大学, 教育学部, 准教授 (90302447)
キーワードエスチュアリ / NRP / 母音体系 / 英語教育
研究概要

平成23年度に代表研究者がロンドンで採取した言語資料を分析した結果を検証した。1980年代半ばからロンドンの若年層の間に浸透してきたエスチュアリと呼ばれる方言は、英国ではかつての威信言語である容認発音(RP)にとって代わる可能性が予測されているが、日本の教育現場でモデルとして使用するには適していないという結論に至った。主な理由は、母音体系の歪みにある。 エスチュアリ方言では、オーストラリアやニュージーランドといった南半球の英語と同様に、二重母音が連鎖的に推移しており、綴り字との乖離がますます拡大している。これは、英語の通時的変化としては自然であるが、英語を母語としない学習者から見ると透明性が低く、習得が困難である。一方、平成23年度におけるロンドン大学訪問の成果として、RPとエスチュアリの中間に存在するNon-regional Pronunciation (NRP)という方言が、教育を受けた人々の間に定着していることが確認された。NRPの母音体系は短母音・長母音・二重母音とも6音素から成っており、5母音に長短の区別がある日本語の母語話者にとって理解しやすく、かつ学習しやすいと考えられる。平成25年2月に出版した論文では、長短の区別がない9音素から成る一般米語の母音体系よりも、NRPの母音体系の方が日本語を母語とする学習者が習得するのに適していることを主張している。自然言語としての英語は変化を免れないが、外国語としての英語にはモデルが必要であることを今後も提言していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度にロンドンで採取した言語資料を分析し、その結果の検証を和文論文と英文論文にまとめた。前者は平成25年2月に出版され、後者はPhonetics Teaching and Learning Conference (PTLC)に投稿された。
柴田知薫子(2013)「イギリス英語の現状と英語教育の方向性」群馬大学教育学部紀要 人文・社会科学編 第62号,97-103.
Shibata, Chikako (in press) 'An Optimal Vowel System for Japanese EFL Learners'

今後の研究の推進方策

2013年9月にシェフィールド大学で開催されるLanguage Variation and Change Conferenceに出席した後、指導助言をもとにヨークシャー地方で言語資料を採取し、帰国後に音声分析を試みる。国内学会での発表を視野に入れ、論文を執筆する。

次年度の研究費の使用計画

2012年8月にはロンドンでオリンピックが開催されたため、混乱を避けるために渡航を自粛した。2013年9月にシェフィールド大学で行われる社会言語学の学会に出席した後、英国中部のヨークシャー地方で言語資料の採取にあたる予定であり、そのための渡航費および滞在費として支出する計画である。
2012年はウィンドウズ8への移行期であったため、パソコンの購入を見合わせた。2013年度にはモバイル型パソコンを購入し、国内学会での発表に備える。そのパソコンに、2012年度にアカデミックライセンスで購入したソフトウェアを導入する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] イギリス英語の現状と英語教育の方向性2013

    • 著者名/発表者名
      柴田知薫子
    • 雑誌名

      群馬大学教育学部紀要 人文・社会科学編

      巻: 第62巻 ページ: 97-103

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公開日: 2014-07-24  

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