研究課題/領域番号 |
23652113
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
古市 由美子 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60422341)
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研究分担者 |
森 幸穂 青山学院大学, 理工学部, 准教授 (20634356)
遠藤 直子 広島工業大学, 工学部, 准教授 (10631145)
菅谷 有子 日本女子大学, 文学部, 研究員 (70422342)
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キーワード | 話し言葉コーパス / 理工学系専門語彙・漢字 / 理工学系語彙用例集 / web教材 |
研究概要 |
本研究グループは、理工学系留学生の研究生活における日本語使用実態の解明を目指し、2007年より理工学系研究室のゼミ内の日本語による発表、質疑応答を含む自然発話を音声データ化し、文字化した話し言葉コーパスを構築している。すでに工学系の4分野において約80時間収録し、延べ語数1,177,834が得られており、新たな3分野(社会基盤学、化学システム工学、電子情報学)のデータを収集した。 現在、これらのデータを基にした教材開発の一環として、学習語彙用例集を作成している。当学習語彙用例集はオンラインで提供するweb教材として使用することを視野に入れて作成中である。研究室内でのゼミ発表やディスカッション内容を聞き取り、理解し、さらに話すことができるようになる自律学習ツールを目指している。次に当学習語彙用例集の作成過程について説明する。まず、コーパスの分析から語彙の出現頻度を調査した。この結果、名詞語彙が多く、専門分野によって出現する名詞の分布に特徴があることがわかった。これをうけ、現在コーパスの名詞語彙を含んだ文例の用例選定と整形作業を、理工学系専門家及び日本語教師による学習優先度の観点に基づいて行っている。さらに、単語の理解にとどまらず、産出のヒントを得られるようにこれらの語彙がどのような文脈で使用されているか、またどのような言葉と共に出現するかを調査し、学習項目の枠組みを設計した。また、23年度から東京大学工学系日本語教室において当研究チームが構築している「理工学系話し言葉コーパス」のデータを素材とする「専門語彙・漢字」クラスを新たに設け、授業実践も行ってきた。これらの授業実践で得られた成果をもとに、今後の当該コーパスおよび学習語彙用例集作成の方針を検討していている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学習語彙用例集のための基礎資料の充実を図り、量的及び質的なアプローチを用い、基本的な分析の枠組みの確立を目指しており、当該学習語彙用例集の枠組みの一つである「学習項目」の定義および選定を、当研究チームと理工学系分野の専門家との間で協議しながら進めている。23年度は都市環境分野の専門家と連携して、「学習語彙用例集(都市環境分野)」の試用版を作成した。24年度は、前年度で確定された基本的な分析の枠組みをさらに精度を上げて用い、アカデミックな場面において多分野に跨って広く使われ、全分野共通で最も基本的な語彙・表現を抽出し、特定すると同時に、分野別の基本的な語彙・表現を抽出・特定した。各分野において使用頻度が高く、学習重要度の高い専門語彙の認定を該当分野の専門家に評価を依頼し、他の分野の専門家に協力を要請しながら、試用版の拡充を進め、試用版のモニターも同時に行った。平成25年度は、前年度の結果を整理し、話し言葉の特徴が出ている表現も積極的に取り入れ、学習語彙用例集の試作版の完成を目指した。学習者の利便性を図るため、基本語彙及び専門語彙の英訳を提供するほか、学習者の母語を考慮し、中国語、韓国語の対訳も一部提供できた。しかし、新たに追加した3分野に関し、用例作成及びその精査に時間を要しており、理工学系分野の専門家による語彙判定の協議が行えず、詳細な分析は来年度に実施することにした。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は現在残っている3分野の語彙、用例の判定を専門家に依頼し、確定する。抽出した基本語彙及び専門語彙に、英訳、中国語訳、韓国語訳を付与し、理工学系7分野の基本口頭表現用例学習辞典を完成させ、オンラインで公開を目指したい。オンラインで公開することにより、学習者の自律学習を促進し、インターネットを通じて国内外の関連機関や専門日本語教育関係者との言語資源の共有と利用結果のフィードバックが実現できるようにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度は新たに追加した3分野の学習語彙を選定し、用例を作成する予定であった。しかし、用例作成及びその精査に時間を要しており、理工学系分野の専門家による語彙判定の協議が行えなかった。そのため、計画を変更し、更に詳細な分析を行うこととしたため、謝金、翻訳などの未使用額が生じた。このため、26年度に現在残っている3分野の語彙、用例の判定を専門家に依頼する。未使用額は、専門家による確認及び、英訳、中国語訳、韓国語訳を付与することに経費を充てる。 専門家による助言・用例の確認 3分野×@50千円 150千円 翻訳料 5分野×20千円 計100千円
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