研究課題/領域番号 |
23652114
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
松田 真希子 金沢大学, 留学生センター, 准教授 (10361932)
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研究分担者 |
金村 久美 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 特任講師 (20424955)
深川 美帆 金沢大学, 留学生センター, 特任准教授 (00583171)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ベトナム / 韻律 / 習得 / 発音 / リズム / アクセント / イントネーション / 喉の緊張 |
研究概要 |
本研究の目的は,ベトナム語を母語とする話者(VN)が日本語音声を効果的に習得する方略を提案するために,以下の2つの調査分析を行うことである。1)学習者に対するシャドーイング実践と振り返りの記録,音声聴取実験による縦断的調査及びベトナム人"good learner"の学習履歴(ラーニングヒストリー)の収集。2)の結果を用いた,母語の干渉や学習環境などの諸要因が発音習得に与える影響の分析、である。平成23年度は主として3つのことを行った。1)OPIデータからわかる音声コミュニケ―ション上の特質分析(VN、英語母語話者(EN)との比較)、2)5カ国母語話者による読み上げ音声データを用いたNSによる聴覚印象実験、3)VN発音熟達者(Good learner)のインタビュー収集と分析である。1)の結果、VNはENと比べ平常時には句末の母音の伸長などが多いことが明らかになった。また、突き上げ(ストレス)時には英語母語話者と比べ言い直しの頻度が上がることが明らかになった。フィラーの頻度については英語母語話者との有意な差はなかった。2)では本語母語話者に4カ国の母語話者による読み上げ音声の聴覚印象を調査した結果、自然さ、印象共に中国(CN)=韓国(KR)>タイ(TH)>ベトナム(VN)の順に評価が下がることが明らかになった。また、CNとKRとは単音、アクセント、リズム、イントネーションのすべての面でVNが有意に下回ったが、THとは単音のレベルでは評価に差がないことが明らかになった。3)Good learnerのインタビューを文字化しKh-coderで分析した結果、韻律面ではイントネーション等高さに対する言及が共通して見られ、リズムに関しては回答者による差があることが分かった。これより、高さに対する意識が高いことが、Good learnerの発音の良さの共通傾向である可能性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究分担者並びに連携研究者(国際交流基金 磯村一弘氏、神戸大学 林良子氏、ハノイ大学Pham Thu Huong氏、ハノイ国家大学外国語大学 Ngo Minh Thuy氏、Than Thi Kim Tuyen氏等)の協力、ベトナムでの現地教育機関の協力により当初の計画よりも様々な音声データ(OPIデータ、読み上げ音声データ)を収集し、分析を行うことができた。また、平成24年2月21日に金沢大学で開催した外国発音習得研究会を主催したことによる研究交流も研究の進展に有益であった。
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今後の研究の推進方策 |
現在実施している研究を下記の計画で推進する。○OPIインタビューのタグ化と分析(平成23年6月開始~平成24年2月完了 2月に成果発表)○読み上げ音声のタグ化と分析(平成24年3月開始~平成24年9月完了、10月に成果発表を予定)○研究の成果を受けたベトナム人学習者に対するシャドーイングと学習ダイアリーの分析(平成24年8月開始~12月終了。2月に成果発表予定)○ラーニングヒストリーインタビューの収集と分析(平成23年6月開始~平成24年8月完了 9月に成果発表)
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次年度の研究費の使用計画 |
○OPIインタビューのタグ化と分析のためのタグづけ作業謝金:100,000 ○読み上げ音声のタグ化と分析 タグづけ作業謝金:200,000 ○研究の成果を受けたベトナム人学習者に対するシャドーイングと学習ダイアリーの分析の作業者謝金:100,000 ○音声データの収集。ベトナムにて収集。400,000 ○研究成果の発表:北海道。200,000
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