研究課題/領域番号 |
23652116
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
玉岡 賀津雄 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (70227263)
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研究分担者 |
斉藤 信浩 九州大学, 留学生センター, 講師 (20600125)
杉村 泰 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (60324373)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 語彙ピッチアクセント / 日本語学習者 / 中国人 / 韓国人 / アクセント知覚 |
研究概要 |
平成23年度は,日本語学習者の語彙ピッチアクセントの知覚と産出の正確さ,およびその聴解への影響を検討する調査を行った。まず,日本語母語話者のピッチアクセントの正確さを,「雨」と「飴」など対の語についてアクセントの区別の正確さを測定した。その結果,中部地区の若い世代では,90%近い正答率を示した。日本語学習者に対してアクセントの知覚・産出調査を行うために,次の3つの変数からなる刺激語を選択した。それらは,(1)3モーラと4モーラ構成の2種類の音韻構造,(2)頭高型,中高型,尾高型,平板型の4種類のアクセント,(3)日本語能力試験のレベルが1・2級または3・4級で難易度を2種類である。2種のモーラ×4種のアクセント×語の難易度の2種類=16刺激語の4セットで,合計64語を選らんだ。その際,和語,漢語,外来語の語種を統制した。これらの語のアクセントが正しい場合と誤った場合を録音して(合計126刺激),アクセント知覚調査および聴解テストを,3月下旬に中国の武漢で日本語専攻の2年生と3年生の各25名(合計50名)に行った。さらに,これらの64語の音声産出の正確さを調査するために,同じ日本語学習者を対象に,実際の発音を一人ずつ録音している。これにより,アクセントの知覚と産出の両面から正確さと聴解への貢献度も解明できるはずである。さらに,平成24年度の大規模調査のために,語彙テスト,文法テスト,聴解テスト,アクセント知覚テストを作成した。これは,平成24年9月に,中国の四川で,日本語学習歴が1年と2年の約200名に実施すべく準備を進めている。この大規模調査では,構造方程式モデリング(structural equation modeling)の手法を使って,ピッチアクセントと語彙,文法,聴解の因果関係を解明する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に予定している中国での大規模調査のための準備を、23年度中にほぼ終えることができている。24年度夏季に中国の大学で行う調査の実施許可も得ている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度9月には、中国の大学でアクセント知覚に関する大規模調査を実施し、10月にはその分析を行う。24年度後期には,ワークショップを開催して成果や方法論を公開し、日本語学習者および関連の研究者と情報を交換する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費の大部分は、9月に中国で実施する大規模調査のための旅費に充てる。その他、分析結果を学会で報告するための出張旅費としても支出する予定である。
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