研究課題/領域番号 |
23652118
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
橋本 智 徳島大学, 国際センター, 准教授 (90466920)
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研究分担者 |
山木 朝彦 鳴門教育大学, 大学院・学校教育研究科, 教授 (20158083)
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キーワード | 日本語教育 / VTS / ビジュアル・シンキング・ストラテジー / インターアクション / ファシリテータ |
研究概要 |
日本語教育においてVTS(Visual Thinking Strategies)が実際に援用できるのかを検討した。今年度は日本語学習者を対象に、VTSのセッションとこれまで行われているようなアート作品を使ったセッション(非VTSセッション)を行い、前年度のデータを含めて教師と学生の発話を分析した。教師と学生のインターアクション(やり取り)を分析するため、Sinclair&Coulthard(1975)と村岡(1999)の分類方法を基にいくつかの項目も新たに付け加えた。 VTSセッションにおける学習者の発話は、非VTSセッションのものに比べて比較的長いことが分かった。また、教師の発話は、VTSセッションでは決められた発話とパラフレーズ(学習者の発話を正しく言い換えながらまとめ、他の学習者の発話と関連付ける)だけだが、非VTSセッションでは学習者の発話を促したり自分の意見を述べたりして、多様なフィードバックが見られた。 このように、VTSセッションでは学習者に自由に発話をさせるため「非収束(拡散)型」授業スタイル、非VTSセッションでは教師が全体のインターアクションを導く「収束型」スタイルになる。学習者が自由に考え発話する環境を作ることが日本語学習の習得につながると考えられ、今後はどのような形のVTSが言語教育に効果的なのかを探り、「日本語学習向けVTS」を作っていきたい。 今年度は「日本語教育VTS研究会」を立ち上げ、そのホームページを作成するとともに、第1回研究会を開催し、本研究の成果報告をし、また他大学でVTSを言語教育に利用している教師の報告を聞くことができた。また、本研究の参加者の論文、研究会での報告内容、またVTSの創始者のPhilip Yenawineへのインタビューを載せた「研究報告書」を発行した。
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