研究課題/領域番号 |
23652119
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
藤井 久美子 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (60304044)
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研究分担者 |
寺尾 智史 神戸大学, 国際文化学研究科, 助教 (30457030)
安田 敏朗 一橋大学, 言語社会研究科, 准教授 (80283670)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | エスノレクト / 多言語 / 移民 / 日本語 |
研究概要 |
本研究では、次の2点を取り組むべき課題として設定した。 まず、一つは、海外での「エスノレクト」という用語の使用やその背景にある多言語社会状況について分析を行い、日本への紹介的役割を担う、というものである。これについては、平成23年度は、研究代表者である藤井がカナダで、研究分担者である寺尾は南米のボリビアとペルー、欧州のルクセンブルクとオランダで調査を実施した。まず、カナダでの調査では、藤井が中僑互助会(S.U.C.C.E.S.S.)を訪問し、バンクーバーにおける中国系移民の言語使用について聞き取りを行った。また、ブリティッシュ・コロンビア大学では、カナダにおけるエスノレクトに関連する資料収集などを行った。寺尾は、ボリビアでは、主たる調査地であるサンタクルス市では教育局長に、オキナワ村ではケチュア系先住民である村長から話を聞くなど、細かくフィールドワークを回り、聞き取り等を行った。欧州については、ルクセンブルクでは教育省を訪問し、さらに、多言語による放送を行っている民間放送局の局長にインタビューを行った。オランダでは移民向け識字学校の訪問なども実施した。 設定した課題のうち、残る1つは、日本における多言語社会の問題をエスノレクトの視点で考察することの可能性であるが、こちらについては、通時的分析を担う研究分担者の安田が台湾の場合について研究を深めた。また、連携研究者の金は、在日コリアンの中でも特に女性に着目して言語使用について考察を行っている。 9月には、メンバー全員が宮崎に集まり、基盤となるこれまでの研究成果の交換と今後の研究の方向性についても議論を行った。 以上のように、平成23年度は、設定した2つの課題に沿って、まずは全員で全体像を把握し、その上で各自が研究を進めることができたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究が設定した取り組むべき課題は次の二つである。 (1)海外での「エスノレクト」という用語の使用やその背景にある多言語社会状況について分析を行い、日本への紹介的役割を担う。 (2)先行する「エスノレクト」研究が対象とした多言語社会の問題を、日本ではどのように考察することが可能か、中国系、韓国・朝鮮系、ブラジル系それぞれのコミュニティでの日本語状況を検討しつつ考察する。 平成23年度は、これらのうち、藤井と寺尾は主として(1)について、安田と金は同じく(2)について、それぞれ研究を進展させることができた。さらに、全員が集まってこれまでの研究成果の交換と今後の方向性についての議論も行うことができている。したがって、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
共時的視点からの分析を担当する藤井、寺尾、金は、国内も含めて、引き続き各コミュニティで調査を行い、「移民」の中の言語状況(日本における日本語を含む)の実態を明らかにすることを目指す。平成24年度は、海外での状況については金がアメリカで調査を行う。通時的視点からの分析を担当する安田については、一定程度研究が進展しているので、必要に応じて台湾での調査を補完的に実施することとする。海外調査は平成24年度中に終了させ、海外の「エスノレクト」事情についてはメンバー内で一旦総括を行う。 エスノレクト概念の紹介と、国内事情から検討可能な視点の提示については、できれば平成24年度中に第一段階の統括として、メンバーの中の誰かが国内外の学会・研究会などで発表を行うように努める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費は、関連する書籍、また、ICレコーダーやデジタルカメラなど、調査に必要な機器の購入にあてる予定である。旅費は、金のアメリカでの調査を主として、各言語コミュニティに赴いての調査や学会発表の際などに使用する。人件費・謝金は、聞き取り調査にかかる費用や資料の整理などで使用の予定である。その他としては資料のコピー代などが挙げられる。
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