研究課題/領域番号 |
23652119
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
藤井 久美子 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (60304044)
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研究分担者 |
寺尾 智史 神戸大学, 医学研究科, 講師 (30457030)
安田 敏朗 一橋大学, その他の研究科, 准教授 (80283670)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | エスノレクト / 多言語社会 / 日本語 / 国語 |
研究実績の概要 |
本研究では、次の2点を取り組むべき課題として設定した。 まず、一つは、海外での「エスノレクト」という用語の使用やその背景にある多言語社会状況について分析を行い、日本への紹介的役割を担う、というものである。これについては、韓国、アメリカ、ボリビア、ペルーでは実際に調査を行い、また、台湾や韓国などアジアの状況については資料などを通して研究を進めた。欧米などでは、この4年間で「ethnolect(エスノレクト)」という用語は研究論文などにおいて多数見られるようになったといえる。論稿などでは「immigrant(移民)」という用語と共に論じられることが多く、国家・地域が多民族化・多様化するのに従い、その存在がより強く意識されるようになっていることがわかった。但し、「エスノレクト」という用語の日本への紹介的役割については、まだまだ不十分であったと言わざるをえない。 その理由は、もう一つの課題として設定した、日本においては多言語社会の問題を「エスノレクト」の視点ではどのように考察することが可能か、ということと関連する。日本社会においては、現在、多言語化が進展しているとはいえ、外国人も含め、多くの人々が日本語には高い規範性があると考えており、「言語の多様性」は容認したとしても、そこに「日本語の多種性」を共存させることは難しい。しかし、方言使用の広がりや、国内外における日本語教育の拡大、また、訪日外国人の増加などで、「国語」とイコールではない「日本語」には多様性があることも徐々に認知されつつあることが明らかにできた。
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