研究課題/領域番号 |
23652128
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
SYKES J・Denby 秋田大学, 学内共同利用施設等, 助教 (50592911)
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研究分担者 |
佐々木 雅子 (島崎 雅子) 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (00292392)
濱田 陽 秋田大学, 学内共同利用施設等, 助教 (00588832)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 外国語活動 / FLEX / 教員養成 / 教員研修 / Tandem Teaching / オーストラリア |
研究概要 |
今年度の研究の主な目的は、1) FLEXとしての外国語活動の理解と理論的適切化、2) 「外国語活動総合教育システム」の構築2点であった。この2点の目的を設定した理由は、小学校の「外国語活動」の内容を充実させ意義あるものにするためには、「外国語活動」の目的を十分に理解し実現させる教育連携体制の組織作りと、実施効果の検証が必要であると考えたからである。 上記1)の目的を達成するためには、諸外国の例と比較しながら、日本の現在の状況や背景にふさわしい外国語活動を模索することが必要であった。韓国、台湾、スウェーデン、スペインの4カ国を訪問し比較検討する資料を収集した。 また、上記2)のシステム構築をするという目的については、「外国語教育資料相談室および教員養成機関」としての大学、「外国語活動の教育現場」としての小学校、「海外教員研修機関」としての大学間交流協定大学、「教育者間連携推進機能」を担う地方教育委員会の4者による連携組織を目指したが、なかなか労力と時間の要る作業であった。その状況の中で、連携を進める象徴的事業として「英語教育オープン研修セミナー」を3回シリーズで7月に開催した。県教育委員会や各地域の教育委員会の協力を得て実りの多いセミナーにすることができた。 さらに、関係各所のスムーズで効率的な連携媒体としてホームページを立ち上げた。内容の充実はこれからの課題であるものの、大枠を作ったことで、今後の広報や利用について効果的に活用していくことが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1) FLEXとしての外国語活動の理解と理論的適切化について 今年度は、外国語教育を方策のひとつとして国や地域の共生発展を進めている先進国を現地視察することとしていた。「外国語教育の実際の授業を録音・録画する」という計画を立てていたものの、肖像権の問題や相手側の理解を簡単に得られることは難しいということから録音・録画はできなかった。「教員養成について実際の研修場面を記録する。」という点においても、交渉を試みたものの結局実施することはできなかった。事前に十分な意思疎通を図った上で信頼関係ができていない場合は難しいことを実感した。それでも、諸外国の例を参考にしながら、日本の社会文化的環境に適したFLEXとしての外国語活動のあるべき姿を追究する材料を得ることができた。2) 「外国語活動総合教育システム」の構築について FLEXとしての外国語活動のあるべき姿について月例会を開催するという計画であった。しかしながら、システムの立ち上げに予想以上に時間がかかり、また、学外の関係各所の理解や協力を得る場合も簡単に事が進むわけではなかった。それでも、7月に「英語オープン研修セミナー」と題して、3回シリーズの講演およびワークショップを開催した。ホームページについては、大枠を作成したものの、細かい内容の作成までには至っていない。関係各所への広報や周知についても十分とは言えないが、平成24年度に内容の充実を進めるための土台作りは行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は「外国語活動総合教育システム」の実践に移ることになる。平成23年度の計画を実施し、実践データを保存・分析し、改善資料とする。改善すべき点は、連携システムの中で逐次継続的に改善する。a. 外国語活動(外国語教育)「FLEXとしての外国語活動」を計画に沿って実施する。実際の授業観察記録、児童、教員、ALT、外国人講師等へのアンケート調査やインタビュー調査(stimulated recallを含む)を保存・分析しながら、月例会や外国語教育資料相談室を通して改善を図る。b. 教員養成・研修「FLEXとしての外国語活動」という視点から、前年度の計画を実行する。教員養成プログラムのデータとしては、フィールド・インターンシップとプロジェクトの期間に書くjournal writing (Borg, 2006)を活用する。現職教員の研修プログラムのデータとしては、アンケート調査とインタビュー調査を行う。さらに、海外協定校での研修期間のデータは、journal writingを活用する。また、実習生としての大学生と研修者としての現職教員の意見交流を月例会などにおいて設定し、focus group interviewを行う。これらのデータを基に逐次継続的に養成・研修システムの改善を図る。 海外の協定校としては、オーストラリアのグリフィス大学を予定している。研修プログラム参加者を募ることで、本事業の関係各所への広報を兼ねて、理解と協力をさらに得る機会とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の中心的事業は「外国語活動総合教育システム」の実践となる。その中でも、現職教員の研修プログラムの参加教員の交通費および研修受講費に8~9割の予算が充てられることになる。データ収集のために、研究者の旅費の支出もできれば理想的であるが、可能な範囲でのやりくりとなる。その他の1~2割の予算は、データ分析に必要な物品の購入に使用されることになる。最終的な交通費の決定、研修プログラムの受講費用の決定までまだ時間があるので、無駄のない使用計画を進めるつもりである。
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