本研究は、コンピュータによる刺激の提示と音声による反応の記録を一元化したシステム上で実施するストループテストを開発し、このテストを活用して実際に日本人大学生を対象とした言語間でのストループ効果を比較する実験を実施して、第2言語における修得度とストループ効果との関係を検証することを目的としている。システムのベースとなるアルゴリズムについては認知心理実験のプログラミングを支援するソフトウェアを活用することで対応できたため、刺激提示用の大型ディスプレイを備えたストループテストのためのシステム環境は、すでに昨年度に完成していた。(本実験で使用する日本語漢字版・日本語平仮名版・英語版のストループテストと英語の修得度を診断するための英語リスニングテストの各マテリアルについては、これまでの予備実験で使用していたものを流用した。)しかしながら、本実験の参加者数が昨年度中に目標の30名にまで達していなかったため、本実験の実施期間を本年度初頭まで延長することにした。5月には実験参加者数が目標人数に到達したので、そこから実験データの集計作業を行い、その後、統計処理ソフトを用いての分析作業を実施した。これらの作業が順調に進んだため、8月には全国英語教育学会の大会でそれまでの経過を発表することができた。その後、この発表での反応を踏まえつつ研究の成果を論文にまとめ、年明けの1月に学会誌(東北英語教育学会研究紀要)へ投稿し、査読を経て掲載論文として採用された。
|