日本人英語学習者に「通じる英語」を習得させることを目指す発音指導で活用できる基本英単語のリズムパターン・データベースを作成した。リズムパターンとは、ある単語が「いくつの音節から成り、どの音節を強く発音するか」を示したもので、例えば、Japanは。●、Internetは●。。となる。 本データベースは平成24年度より使用の中学校検定教科書全6社計18冊に出現の全英単語について、品詞、音節数、リズムパターン、ジャンル、カタカナ語、モーラ数、日英ギャップ(単語の音節数とカタカナ語のモーラ数の差)の全項目を入力したものである。 全教科書共通の617単語を分析した結果、出現するのは1~4音節語までで、1音節語が375語(60.8%)、2音節語が181語(29.3%)、3音節語が54語(8.8%)、4音節語が7語(1.1%)であった。リズムパターンは8種類で、1音節語の●と2音節語の●。とで全体の84%を占める。 リズムパターンの提示方法が、日本人英語学習者の「通じる発音」習得にいかなる影響を与えるのかも調査した。非英語専攻の大学1年生26名に3種類の提示法(強勢記号なし・強勢記号あり・リズムパターン提示)で30単語をそれぞれ発音してもらい、そのうち78個(26単語×3種類)の音声データを日本語・日本文化に触れたことのない在米または在豪の英語母語話者・非母語話者42名に聞かせた。正確に書き取りができた場合に「通じた」と判定し、分析した結果、「リズムパターン提示」が「強勢記号なし」よりも統計的に有意に通じる度合いが高かった。「強勢記号なし」と「強勢記号あり」、または「強勢記号あり」と「リズムパターン提示」の間には統計的有意差は確認されなかった。 この結果、今回作成のリズムパターン提示による英単語リズムパターン・データベースは「通じる英語」を目指した発音指導に有効である可能性が示唆された。
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