本研究は、複数の技能を関連させて定着を図る英語指導法であるGroup Work Reporting (以下GWR) による学習が、大学生英語学習者の第二言語習得に及ぼす影響について検証し、さらに、GWRなど複数の技能を統合した指導を中学・高校の英語教育において実施するために、授業モデルの構築と中高で活用できる教材開発を行うことを目的としている。 3年間の研究で、①大学生英語学習者のGWRにおける英語使用の実態分析、②技能を統合して行う英語指導のための教材開発、③技能を統合した指導のあり方の中高英語教員への提案、の3点に重点を置いて研究を進めてきた。 ①に関しては、大学生のGWRを用いた一連の学習によって、学習者の発話の正確さが向上することが明らかになった。学習者は、GWRによる自律的な学びを通して、正確な英語を定着させることができた。しかし、学習者の発話を詳しく分析すると、自律的な学習活動のみでは改善されにくい言語材料が存在することも同時に明らかになった。②に関しては、これまで収集した資料やBBCの語学学習サイトにおける素材などを活用し、大学生の学習用、ならびに、英語教員研修用の教材開発を行った。③に関しては、「4技能を統合的に活用する英語授業のあり方」について、研究協力者との授業研究会等を通して、複数の技能を統合し、英語を使いながら定着させ、英語によるコミュニケーションの「成功体験」を積み重ねることにより「発信につなげる」一連の指導過程を開発した。 これらの研究成果は、研究協力者の授業実践をDVDに記録する形でまとめることができ、英語教員を対象とした指導法研修会や英語教員セミナーにおいて具体的な提案を行った。
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