研究課題/領域番号 |
23652140
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山下 徹 熊本大学, 社会文化科学研究科, 教授 (70249738)
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キーワード | ライティング / 自律協調学習 / デジタルポートフォリオ / メタ認知的意識 / テキストマイニング |
研究概要 |
予備的研究として、大学での英文ライティングの推敲活動、自己・相互評価の結果を、CMS(Course Management System)上でデジタルポートフォリオとして記録し、推敲方略、メタ認知的意識、自己効力感の変化等を時系列で改めて分析した。また、先行研究の見直しにより、量的分析・概念相互の関係性の視覚化・時系列分析を中心とするテキストマイニング手法であるTMS(Text Mining Studio)と質的な研究手法であるGTA(グラウンデッド・セオリー・アプローチ)を組み合わせた分析方法が、定量化と定性化を交互に行う混合デザインとして、分析結果の妥当性に寄与することが判った。このような定性的分析と定量的分析の結果を相互に比較検討することにより、メタ認知・自己効力感・推敲方略相互の関係性について、より妥当性のあるモデルを提示できることが、予備的研究と更なる先行研究の結果として明らかになった。 いくつかのサーバーシステムを文献・資料により検討した結果、PDFポートフォリオに効果的にアクセスし検索が可能な、より研究目的に適したシステムがあることが判った。次年度には更に検討を重ね、可能な限り早期に最適なサーバーシステムを確定・構築する予定である。 また、PDFポートフォリオを時系列で作成可能なAcrobat XI Proと関連書籍を購入し、ドラフトの共同レビュー・注釈、時系列でドラフト・注釈を綿密に検索する手順等の詳細を調べた。結果として、ファイルサーバーの構築には至らなかったが、次年度にAcrobat XI Proで作成したPDFポートフォリオにサーバー上でアクセスし、共同レビュー、ドラフト・注釈の検索を行うための準備をすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は、Acrobatソフトウエアの共同レビュー・注釈機能により、学習者は、ドラフトに関する自己・相互評価活動を行い、結果をワーキング・評価ポートフォリオとして保存するとともに、これらのポートフォリオを時系列で一覧できるPDFポートフォリオとして、ファイルサーバーに記録する予定であった。また、これらの重層的なPDFポートフォリオから、TMSにより可視化したメタ認知を時系列で分析し、その分析結果とPDFポートフォリオを学習者に提示することにより、学習者自身が電子掲示版上で、メタ認知の変容を振り返り、議論する活動に活かす予定であった。さらに、議論の結果をディスカッション・ポートフォリオとして記録する計画であった。 研究の進展に伴い、当初の計画よりも、より研究目的に適合したサーバーシステムの導入を検討する必要があることが判った。このため、計画を一部変更し、次年度にサーバーシステムを構築し、PDFポートフォリオを時系列で記録し、メタ認知の変容の分析、学習者へのメタ認知の可視化、CMS上での振り返りと議論、ディスカッション・ポートフォリオの記録を行うことになった。また、Acrobat XI Proの購入とサーバー上でのドラフトの共同レビュー・注釈、時系列でPDFポートフォリオ上のドラフト・注釈を検索する手順を詳細に確認することができた。予備的研究として、英文ライティングの推敲活動、自己・相互評価活動の結果を、CMS上でポートフォリオとして記録し、メタ認知的意識、自己効力感の変化等を時系列で分析した。また、先行研究の見直しも行い、時系列分析を中心としたTMSと質的な研究手法であるGTAを組み合わせた分析方法が、定量化と定性化を交互に行う混合デザインとして、分析結果の妥当性に寄与することが判った。この点は次年度のデータの分析方法に活かす予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度においては、個人の英文ライティングのワーキング・評価ポートフォリオをファイルサーバーに記録する。Acrobat XI Proの注釈機能により、これらのポートフォリオのオンラインでの相互評価の活動を行ない、ピアの評価ポートフォリオとしてファイルサーバーに保存する。学習者は、評価ポートフォリオのコメントに基づき、ドラフトの推敲と再度の自己評価を行う。最後に、学習者毎のワーキング・評価ポートフォリオを時系列で一覧できるPDFポートフォリオとして、ファイルサーバーに記録する。ファイルサーバーは改めて検討し、ライティングのドラフト・注釈を含むPDFポートフォリオの時系列での検索・比較が綿密かつ効果的に行えるサーバーシステムを構築する。 テキストマイニングソフトウエアであるTMSで可視化したメタ認知の変容の分析結果を、CMS上で経時的に表示し、ルーブリック(評価指標)の認知的目標との関係で、学習者がメタ認知の変容を振り返る活動を行う。また、PDFポートフォリオを検索し、CMS上で議論を行い、結果をディスカッション・ポートフォリオとして記録・分析する。これらのポートフォリオを活用した、TMSによる推敲方略・自己効力感・協働的メタ認知の時系列による変化と相互関係の詳細な分析を、定性的な研究手法としてのGTAと交互に組み合わせて行なう予定である。 また、事前・事後の英作文能力を測るテスト、自己効力感の事前・事後アンケートを行う予定である。さらに、学習者への質問紙調査も実施し、最終的に、CMSと連携した重層的なデジタルポートフォリオの活用が、大学レベルでの英文ライティングの自律協調学習の支援において有効であることを検証する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
未使用経費は、次年度のサーバー・ソフトウエアの購入、研究旅費(学会参加)、研究成果報告書の作成等に充てる予定である。 データベースソフトにより新たに開発したシステムよりも、Acrobat XI Proを活用した方が、より効率的かつ効果的にPDFポートフォリオにアクセスし、綿密に検索できるシステムを構築できることが判ったため、システム開発等の人件費・謝金がこれまで未使用となっている。 次年度は人件費・謝金の一部をファイルサーバーの構築と運用、CMSとファイルサーバー間の連携等に使用する計画である。また、ファイルサーバー・ソフトウエアを、物品費の未使用経費、人件費・謝金の残額を使用して購入する予定である。調査・研究旅費はこれまで未使用であり、次年度の学会参加費用として使用する予定であるが、残額はファイルサーバー・ソフトウエアの購入に使用する計画である。その他の未使用経費は、研究成果報告書の印刷、機器修理費用等に充てられる予定である。
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