研究課題/領域番号 |
23652144
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
アレン・玉井 光江 青山学院大学, 文学部, 教授 (50188413)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 小学校英語 / 音声教育 / Story-based approach / Storytelling / Joint-Storytelling / Whole language approach |
研究概要 |
本研究は、学びを育てる英語教育プログラムとして「Story-Based Curriculum:ストーリーを中心にしたカリキュラム」を開発し、その効果について量的、質的に研究することを目的としている。研究初年度にあたる2011年度では、下記の成果を挙げた。(1) ストーリーを中心にしたカリキュラムを支える理論について文献研究を行った。またアメリカよりプロのストーリーテラーを招聘し、言語教育におけるストーリーテリングの有用性についてセミナーを開くとともに、意見交換をした。(2) 理論に基づき開発したStory-Based Curriculumを、実際に公立の小学校5年生を対象に、小学校教員とチーム・ティーチングを組み、実施した。Goldilocks and the three bearsを題材に当初の予定より早い5月下旬より小学校で週1回行われる英語活動の時間を利用し実践した。またこれとは別にThe Big Turnip(大きなカブ)およびLittle Red Riding Hood(赤頭巾)を題材にStory-Based Curriculumの本を出版した。(3) 実施の前後に(ストーリーに出てくる)語彙および表現に関するテストやアンケート等を行い、その効果について検証した。また、英語を得意としない小学校教員がどのようにすればストーリーを中心にした授業に取り組むことができるのか、また彼らの反応がどのようなものかを質的に調査した。児童の語彙獲得については、当然ながら学習を積んだのでStoryに出てきた単語を習得していった。興味深いのは単語だけの習得に終わらず、それがフレーズの学習また初期的な文法の芽生えにつながっていったことである。教員の反応も大変よく、児童が英語を自分のものとして獲得していく姿に感動したという意見が多かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2011年度は研究初年度であり、まずはStory-Based Curriculumを理論的に支えるアプローチについて深く研究し、完成度の高いカリキュラムを作成することを目指した。その結果、ストーリーを中心とした独創的なカリキュラムを作ることができた。 パイロット的に1つのストーリーを教材化し、作成したカリキュラムを小学5年生のクラスで5月より実践することができた。予定では10月から実践することにしていたので、5ヶ月も早く導入することができ、より多くのデータを収集できた。また、予定していたとおり実際に公立小学校で作成したカリキュラムを実践できたことに大変満足をしており、児童の反応を取り入れ、より効果的な教材を開発することができた。また、教材の導入前後で、ストーリーに含まれていた単語や表現に関するテストおよびアンケートを行ったが、児童における効果は想像以上のものがあり、大変満足している。 また、言語教育におけるストーリーテリングの効用について広く周知してもらうため、教室活動の中にストーリーテリングを取り入れ、その方法を広めたアメリカからプロのストーリーテラーを呼び、ワークショップを開催したが、参加した多くの英語教師からとても良いワークショップであったと評価された。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度予定していた以上に進めることができたので、その経験を生かし、今後もプログラムを拡張して進めていきたい。具体的には研究代表者が指導する児童は小学校6年に進級するが、基本的には23年度行った要領で23年度とは異なるストーリーを使用し、24年度も Story-Based Curriculumを実施する。 昨年度同様、Story-Based Curriculumを開始する前に、導入するストーリーに出てくる単語や表現を含むテストを行う。活動の終了後同様のテストや授業に対するアンケートを行い、その効果を測定する。一方、新しく5年生になった児童に対しても、研究代表者が訓練した英語補助教員をつけて学級担任とともにStory- Based Curriculumを実施する。また、今年度もアメリカからプロのストーリーテラーを呼び、講演会またはワークショップを開催する予定である。専門家だけではなく、小学校教員、または小学生を対象にストーリーテリングを披露してもらう予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度同様、さらに理論研究を進めるためにアメリカのストリーテリング協会への視察およびそこでの意見交換を計画している。また、この方法を広く知ってもらうためにワークショップなど勉強会も予定している。 教材開発のために必要な物語に関する書籍、イラスト、ビックブックなどを購入し、データ収集および入力に対して謝金を支払う予定である。さらに国内外での研究発表を計画している。
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