研究概要 |
本研究は、初期学習者を対象に学びを育てる英語教育プログラムとして「Story-Based Curriculum:ストーリーを中心にしたカリキュラム」を開発し、その効果について量的、質的に研究することを目的としている。 ストーリーを中心にしたカリキュラムはstorytelling, joint storytelling, storyに関連する活動、readingに分けられ、この順番で進める。研究期間中、都内の公立小学校の高学年に対して異なるストーリー(3匹の熊、ジャックと豆の木、赤頭巾、桃太郎)を開発し、毎回7分程度、年間で約20回程度の指導を行った。量的研究では、語彙習得について、Joint storytellingの導入前後で児童の受容語彙知識を測定した。その結果、彼らが統計的に有意に語彙知識を伸ばしていたことがわかった(効果量大)。またポストテストのみであるが、英語を聞いてスペルを選ぶ問題、さらには文の並べ替え問題でも高い正解率を示した。2年目からは個人テストとしてrecitationさせたが、言語産出力が有意に変化したことが証明された(効果量大)。このようにストーリーを使ったカリキュラムで児童が効果的に英語のスキルを獲得していたことがわかった。 また質的研究では、児童にインタビューおよびアンケートを行った。全ての児童がこの活動を大変楽しみにしており、「難しいでも頑張った、だからできるようになった」と達成感を強く感じており、自律した学習者に育っていく様子がよく見られた。さらに学級担任にもJoint Storytellingの指導についてインタビューおよび意見を書いてもらった。小学校教員からは「児童が生き生きと反応し、最終的には長くて難しい英語の文を言っていることに驚いた。自分も英語学習者として英語を身近に感じることができるようになった。」などの意見が聞かれた。
|