研究課題/領域番号 |
23652145
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
寺内 正典 法政大学, 経済学部, 教授 (20227507)
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研究分担者 |
J K Hubbell 法政大学, 経済学部, 教授 (50171088)
飯野 厚 法政大学, 経済学部, 准教授 (80442169)
中谷 安男 法政大学, 経済学部, 教授 (90290626)
長沼 君主 東京外国語大学, その他部局等, 講師 (20365836)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 第2言語習得 / 第2言語文処理 / 第2言語談話処理 / 第2言語音声処理 / 前置談話文脈情報 / 韻律的情報 / 統語処理方略 / 曖昧性の解消 |
研究概要 |
平成23年度の主な研究実績に関しては、以下のとおりである。(1)「本研究に関連する内外の先行研究の進展状況の調査と研究文献収集」第2言語習得、第2言語文処理・第2言語談話処理・第2言語音声処理に関する本研究と密接に関連する先行研究文献を出来るだけ広範囲に収集するために、内外の関連学会に参加するとともに大学や研究所の図書館によるデータベース検索を行った。また入手した研究文献の概要に関する研究会を研究分担者、研究協力者とともに毎月1回開催し、知識と情報を共有した。また研究会では、本研究の効果的且つ効果的な遂行のために、より適切で多角的なデータを収集し、分析するための統計処理・統計分析に関する実証的研究方法に関する研究と討議を行った。(2)「前置談話文脈情報と韻律的情報が日本人EFL学習者の統語処理に及ぼす影響に関する実証的研究」本研究では、統語処理方略に関して、主に閉鎖の原理(早い閉鎖と遅い閉鎖)に関する曖昧性の解消と中央埋め込み文などに関する複雑性の解消に研究の焦点を絞り、日本人大学生と大学院生75名を対象にして実験を行った。この実験では、前置談話文脈情報と韻律的情報が及ぼす単文単位の統語処理に対する影響に関してオフライン処理を採用して実験参加者のデータを収集し、調査・分析した。その結果、この二つの情報は実験参加者の統語処理における曖昧性と複雑性の解消に対して有効であることが統計的に認められた。また曖昧性や複雑性の解消が適切に行なわれない場合に生じる誤りの主な原因としては、母国語としての日本と英語の統語的な差異や実験参加者の中間言語の影響が見受けられた。(3)「日本人EFL学習者を対象とする読解指導の実態調査」調査項目の作成を行い、平成24年度の本調査の実施の前に30名を対象とする予備調査を実施し、G-P分析を行ない、また信頼度係数を算出し、調査項目の修正を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
9.「研究実績の概要」の(1)から(3)の項目で記載したように、当初の研究目的は、ほぼ達成されていると判断できよう。 また、本研究は、本年度が初年度ではあるが、これらの研究成果に関する中間報告に関して内外の各学会や各大学や各研究所などで口頭研究発表や研究報告や研究論文などが研究代表者と各研究分担者によって数多く公表されている。 また、これらの研究結果の再検討や実験参加者の誤りの原因のさらなる解明などに関しては、さらに統語処理タスク、談話処理タスクなどを通じて入手したデータに加えて、音声処理タスクや談話完成タスクなどの複数の研究方法を活用して収集したデータを多角的に補完した複合的分析やメタ分析を行なっていく予定である。 また、関連する専門領域の各研究分担者や各研究協力者との効率的な研究体制が望ましい形で確立され、月1回の研究会議が継続的に開催できるようになってきている。 なお、これらの研究成果などに関しては、刊行物や専門書としてまとまり、現在、初校正中である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)平成24年度以降の研究の推進方策としては、23年度までの研究結果を再検討し、実験参加者の統語処理における曖昧性や複雑性の解消の成否に関する統語処理原理や統語処理方略などの諸要因が及ぼす影響の原因に関する精緻な解明を行なう。また統語処理方略に関する英語母語話者の統語処理データの収集と分析を行ない、日本人EFL学習者との統語処理方略の差異とその原因を解明していく予定である。(2)平成23年度に、実験参加者から主に統語処理タスク、談話処理タスクなどを通じて入手したデータに加えて、平成24年度は、実験参加者に対する音声処理タスクや談話完成タスクなどを用いた複数の異なる研究方法を活用してデータを収集し、質問紙による質的データを加え、それらの関連するデータの比較や相関を調査し、複合的分析やメタ分析を行なっていく予定である。(3)23年度に行なった予備調査を踏まえて、日本人EFL学習者を対象とする読解指導に関する実態調査研究を実施し、分析・考察していく予定である。(4)本研究の研究成果などを踏まえ、研究代表者、研究分担者、研究協力者などで、英語教育学、第二言語習得、第二言語習得に関する実証的研究法に関する専門書を平成24年度中に刊行する予定である。(5)平成24年度末に、研究報告書(中間報告)の作成を行なう予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)研究旅費 さらに最新の研究文献を収集し、各学会に参加し、情報を収集するとともに、一連の研究成果の発表のために研究旅費が必要である。 (2)物品費 より多くの実験参加者データを収集し、効率的なデータ分析を推進するために、PCや統計処理ソフトの費用が必要である。 (3)謝金等 上記(2)に関してより多くの各種データの統計処理と分析に要する研究協力者の謝金などが必要になろう。また統語処理に関する英語母語話者などへのインタビュー調査のための諸費用も必要である。
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