研究課題/領域番号 |
23652147
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
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研究分担者 |
横山 悟 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (20451627)
田中エリス 伸枝 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (70593698)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 英語教育 / 脳活動 / 第二言語発達 / 発話力 / 神経科学 |
研究概要 |
本研究では、第二言語(L2)の会話を習得する際、脳にどのような変化が見られるかを調べ、L2発話力と脳活動の相関関係を解明する。本研究の結果は、応用言語学的、神経生理学的見地においてL2習得理論の発展に資する可能性があると考える。さらに、L2発話力と脳活動の相関関係が確立できれば、科学的・生物学的根拠に基づいたL2会話の教授法・学習法の開発に道が拓ける。平成23年度4-7月は、会話の複雑度、正確性、流暢さなど、応用言語学およびL2習得の観点から有意義な分析が可能なL2発話データを抽出できるよう、会話タスクを設計した。また、fMRIかMEGの装置を使って第二言語発話時の脳活動を測定するという選択肢があったが、データの性質等を考慮しfMRIに決定した。しかし、fMRIは大きな作動音が伴ううえ、被験者が横たわり、体の動きが制限されるという特殊な環境で行われる為、音声の記録方法、頭や顔の動き、返答にかかる時間などの要素に与える影響を考慮し、写真を描写するというタスクにした。これらの要素を踏まえ、発話の特性を数値的指標で示す方法を検討した。東北大学加齢医学研究所川島研究室と早稲田大学理工学術院英語教育センターが共同研究するにあたり、川島研究室で7月-9月に数回に渡ってプレゼンテーションを行い、そのフィードバックをもとにしたリサーチデザイン発表後にfMRIを使った共同研究を行う許可がおりた。その後、9月-2月はfMRIのスケージュール調整と被験者の募集、タスクに使用するファイルの制作・調整などを行い、2月下旬に実験のリハーサルを行った。3月は46人の被験者を使い実際に実験を行った。被験者はfMRIの中で英語と日本語で各31枚の写真を30秒間ずつ口頭で描写し続けるタスクを行い、L2の発話力と脳活動の関係を多角的に分析する為、待ち時間に英語力、心理、リーディングスパンのテストを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の進行状況はやや遅れているが、それは以下の理由によるものである。まず、使用するfMRIは東北大学にあり東北大震災により準備が遅れたこと。スピーキングタスクに使用する写真を選択するのに被験者を集め写真の適性を見る予定だったが、被験者の集まりが悪く判断するのに時間がかかった。今回の実験では英語力が低い被験者が集中してしまい、更に英語力の高い被験者の募集が必要なことが理由にあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はL2スピーチ力の指標と脳活動の指標の関係を明らかにする為に更にデータを集める。前回の実験では英語力の低い被験者が集まり第二言語の能力による脳活動の違いの関係比較がしにくい為、今回は英語力が高い被験者を追加で募集する。前回集めたデータの分析結果により、その二つの指標の関係性をはっきりさせたいと思っている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は平成23年度同様に主に実験に関わる経費として使われる予定である。例えば、被験者、翻訳者、データ分析の為のテープおこし、コーディングの謝金などの他に、東京と仙台の往復の旅費、学会発表の為の旅費などがあげられる。
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