研究課題/領域番号 |
23652150
|
研究機関 | 岡崎女子短期大学 |
研究代表者 |
小宮 富子 岡崎女子短期大学, 幼児教育学科, 教授 (40205513)
|
研究分担者 |
石川 有香 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40341226)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | World Englishes / Japanese English / innovation |
研究概要 |
平成23年度は1)国際英語論や日本人の英語に関する先行研究の分析と2)日本人の英語使用におけるinnovationの同定に関する研究、に着手した。 1)に関しては、国際英語論におけるExpanding Circle英語(EC英語)の位置付けに焦点を当て、英語との言語距離に基づいたEC英語の類別化と日本人英語におけるmistake, error, innovationの類別化を行った。その研究成果は、大学英語教育学会第50回全国大会における‘Research Activities of SIG on World Englishes and Cross-Cultural Understanding’と題するポスター発表の中で小宮が分担発表を行った。 また、日本語の特徴や日本的思考の特徴に関する研究を行ない、日英語の言語距離の大きさ・日本語の主題優位性の影響・日本語のモダリティ重視の影響・日本語の対人配慮などが日本人の英語の使用方法や日本人の英語そのものに与える影響に関する中核的な知見を得た。これらの研究成果に関しては大学英語教育学会中部支部定例研究会において「非母語話者英語への英語学習者の認識と日本人の英語について」と題する研究発表を小宮が行った。 2)の研究項目に関しては、日本人英語に関するコーパス分析に基づく先行研究の分析を行い、その中から日本人英語のmistake, error, innovationの区別に関連する言語項目の抽出を試みた。研究分担者の石川は本研究での統計分析を担当しており、International Conference on Language, Literature and Linguistics 2011において‘A corpus-based Research on Thanks in British Dialogue’を発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は1)国際英語論や日本人の英語に関する先行研究の分析と2)日本人の英語使用におけるinnovationの同定に関する研究に着手したが、この2つの課題に関し、概ね順調に研究が進展していると思われる。理由としては(1)国際英語論との関連で、Expanding Circle(以下EC)諸英語の中で母語話者英語との言語距離の大きさに基づいた分類が必要であるという認識に基づき、カチュルーの英語分類表の改訂を提案しえたこと。(2)EC英語が「学習者英語から教養ある自律的な英語に」達するまでの4段階の区別と、mistake/error/innovationの理論的な区別との関係や教育上の対応方法を表を用いて整理しえたこと。(3)日本語におけるモダリティの重要性が日本人の英語使用に与える影響の大きさについて、基礎的な文献研究が進んだこと(4)日本人の英語使用の特徴に関するコーパスを用いた先行研究の分析が進展したこと(5)日本人英語の言語使用にみられる特徴と思われるものの中で「学習段階」に特有のerrorと「習熟段階」に見られるinnovationの区別を、名詞句の使用例などを中心にコーパスによる先行研究の事例の中から拾いあげる作業が進展したこと、などが挙げられる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、「日本人英語におけるinnovation」の同定に関する研究を継続するほか、日英語のモダリティの相違や日英語の主題優位性と主語優位性の相違が日本人英語に与える影響などをさらに調査分析する。具体的には、(1)日本人英語におけるinnovationとその前兆的用法の同定を行い、将来の日本人英語における「中核的用法・増加用法・減少用法」を予測する。(2)日本人英語のモダリティに関する調査を行い、「中核的用法・増加用法・減少用法」を予測する。(3)日本語の主題優位性が日本人英語の語法や文法に与える影響に関する調査を行い、それぞれの語法における「中核的用法・増加用法・減少用法」を予測する、などである。また、(4)国際英語論が「日本人の英語学習」にどのような影響を与えうるかについても考察を深める。研究遂行上の課題としては、日本人英語の分析が当初計画していた「名詞修飾部」のみではなく、より範囲を広げて、その他の文法特徴、語彙、発音、談話レベルでの一般傾向についても含める必要性を感じていることである。これに関しては、「名詞修飾部」を中心研究課題としつつ、言語の他の側面についても一定の考察を行うという形で対応する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究費は主として、物品費と旅費に使用する予定であり、研究代表者の小宮は前年度未使用分と合わせて約56万円の予算となり、国際学会への参加旅費に約20万円、図書とその他の物品の購入に約36万円の使用を予定している。研究分担者の石川も図書の購入に1前年度未使用分を含む約10万8000円の使用を計画している。
|