研究課題/領域番号 |
23652151
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研究機関 | 徳山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
国重 徹 徳山工業高等専門学校, 一般科目, 教授 (50225174)
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キーワード | 英語多読 / 語感 / 読書速度 / 計量的研究 |
研究概要 |
まず、平成23年度末までに整理をしたデータに基づき、学習者の多読の仕方に見られる傾向と語感の伸びの分析を行った。その際に、いわゆる「飛ばし読み」や「滑り読み」と呼ばれる多読上の問題(分からない単語や部分を飛ばして読むため、ストーリーの内容がほとんど学習者の頭の中に入っていないという問題など)を考慮していなかったことが判明したので、多読記録用紙に基づき、分析用データの中に1冊の本を読むのにかかった時間を組み入れて、データを整理し直した。同時に、平成24年度の研究者が担当する英語の授業内外(授業内においては、本科1年生及び本科3年生。授業外は希望学生全員である)において、英語の多読(多聴も含む)を実践した。その際、学習者がどのようなレベルでどのような語数の多読書をどれだけ読むと、語感が最も効果的に養成されるのかを計量的に明らかにすることを目的とした。計量的に評価する際の基準として、平成24年度も日本多読学会などにおいて、多読の効果の調査分析に頻繁に用いられているword/bookの指標を用いた。まず、英語多読記録用紙を用いて学習者に多読の記録(何語のどのようなレベルの本を何冊読んだか、1冊読むのにかかった時間、読んだ本のあらすじや感想などの記録)をつけさせた。次に、平成24年度1年間の多読記録に基づき、学習者の多読傾向(どのようなレベルの本を、どのくらいの量、また、どのくらいの速度で読んでいるかなど)を分析するためのデータ整理と、語感の鋭さを測るテストの結果(年2回実施)のデータ整理を完了した。また、平成24年度の多読活動で得られた英語多読活動の成果や結果などをまとめ、学会等で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度の途中で、研究開始当初に予定していた分析のための基準を別の分析基準(多読学会などにおいて、多読の効果を調査分析に基づいて発表する際に最近頻繁に用いられて いるwords/bookの指標)に変更し、データを整理し直したことと、いわゆる「飛ばし読み」や「滑り読み」と呼ばれる多読上の問題(分からない単語や部分を飛ばして読むため、ストーリーの内容がほとんど学習者の頭の中に入っていないという問題など)を新たに考慮することにしたため、データ整理に時間がかかってしまい、データに基づいた十分な調査・分析がまだ十分なされていないという点で、やや遅れているという評価とした。しかし、より精緻な結果が出せる可能性が高まったという点で、研究自体のレベルとしてはかなりいいものになりつつあると言えそうである。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、授業内外で多読の取り組みを継続する学生(本科2年生及び、本科3年生及びそれ以上の希望者)のグループに対して、平成24年度と同様の調査を続ける。また、それぞれのグループに対して多読記録をつけさせ、年度が 終わるまでに平成25年度の学生の多読傾向を探るためのデータを整理する予定である。また、基準を変更するとともに、読書速度という新たな指標を加えた評価基準を用いて、これまでに整理の終わったデータ及び平成25年度のデータを詳細に分析し、どのような多読の仕方をするのが最も効率よく語感を養成することができるのかについて明らかにし、得られた知見を学会等で発表し、論文にまとめる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度には、教材としての英語多読用の図書及び語感の鋭さを測るテスト作成の参考とすべき図書を合わせて20万円程度購入する 予定である。また、学会への参加費や論文投稿料としての経費を約10万円計上している。
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