研究課題/領域番号 |
23652171
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
水井 万里子 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90336090)
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キーワード | 国際情報交換 / インド植民都市 / 社会史 / 比較都市史 |
研究概要 |
本事業の2年目となる平成24年度は、前年度収集した史料をもとに、各自の問題関心から研究会での口頭報告を実施した(7月初旬)この際、周辺諸科学との交流を念頭に置き、社会人類学専攻の永渕康之氏、建築学専攻の山田協太史氏を招へいし、研究代表者、連携研究者、研究協力者と学術的な交流を図った。ここでは、植民都市の歴史を、前近代まで遡って検討することで共通の論点が見いだせるのか、各分野から活発な議論がなされた。 同研究会では23年度に調査した史料の紹介や、これに関する意見交換がなされ、イギリス、オランダ、コルカタ、チェンナイ、デリーの公文書館に存在する植民都市の史料状況を比較検討することができた。特に都市形成期に各市がヨーロッパの本国から付与されるチャーターの差異が、その後の司法上の展開や、都市自治の在り方に影響を与えた可能性について、今後の研究課題とした。もう一つの研究課題は市を外部空間と隔てる境界の在り方についてである。23年度に連携研究者がイギリス東インド会社、オランダ東インド会社下のインド植民諸都市における市壁についての研究論文を発表し、24年度はその類型化を試みるため、古地図をもとにした実地検分をマレーシアのペナン島とインドのプリカット、マドラスという植民都市で実施した。 上記の研究実績から、西洋都市史の重要な検討課題であるチャーターと市壁の問題を史料をもとに複数のイギリス・オランダ植民都市において実証から生じた論点として剔抉したことが今年度の顕著な研究実績であった
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者、連携研究者、研究協力者の3名は、23年度に実施した個々の史料調査をもとに、24年度はその分析に着手した。これまでの共同研究の中で、植民都市の比較の出発点ともなる、チャーターや市壁(境界)の問題を実証的に比較検討し、最終年度に都市の社会史研究を深める下地はほぼ完成しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は最終年度であるため、これまで収集した史料や実地検分の成果を踏まえて、インド植民都市史について、比較都市史(社会史)の観点から研究報告(口頭)を実施する予定である。これをもとに、研究代表者、研究協力者、連携研究者はできるかぎり共同で論文の執筆と公刊に努めることとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の研究計画は口頭報告のための研究代表者他の出張にともなう国内旅費と、最終年度の論文執筆に必要な図書購入費が主たる使用目的となる。この他、収集した史料を共有するためのデータ閲覧機器の回線使用料が月ごとに発生する。
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