研究課題/領域番号 |
23652173
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
田中 きく代 関西学院大学, 文学部, 教授 (80207084)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 大西洋史 / ドイツ / アメリカ合衆国 / 1848年革命 / 亡命者 / ツルネルン運動 |
研究概要 |
2011年8月から9月にかけて、アメリカ合衆国のウィスコンシン州とマサチューセッツ州で、1848年のドイツからの亡命者について史料調査をした。マサチューセッツ州では、アメリカに亡命時のフォーティ・エイターズの史料や自由土地党(フリーソイラー)の史料を調べた。続いて、ウィスコンシン州では、ウィスコンシン州歴史協会やジャーマンタウンであったウォータータウンの資料館で史料調査をし、個人のレベルのデータをある程度収得することができた。また、これらの調査を通して、1848年に体制批判派が重視していた体操運動であるツルネルン運動が、亡命者や移民を通してアメリカ合衆国に持ち込まれていたこと、そのツルネルンのクラブがアメリカでの社交あるいは政治運動の基盤となっていたこと、また特筆すべきだが、1850年代にはアメリカ全土にツルネルン・クラブが広がっていたことを、史料調査を通して発見した。これは得難い成果であったといえる。 帰国後、2週間ほどしか時間がなかったが、調査結果をまとめ、2011年9月18日に北九州大学で開催された日本アメリカ史学会のシンポジウム「伝播する革命」で、パネリストとして報告した。題目は「1848年革命とフォーティ・エイターズ」で、フォーティ・エイターズの1848年から50年代初頭におけるアメリカ政治への貢献についてと、その基盤であったツルネルン運動のアメリカでの進展について報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績の概要で述べたように、海外調査は、亡命者のデータを収集できたにとどまらず、亡命者の社交クラブツルネルンの実態の調査にまで、ある程度進みえたことは、思いのほかの成果であった。しかし、ジャーマン・タウンであったウォータータウンの調査は、亡命者のデータを一部集めえたに過ぎず、想定内というものの、時間の制約から、さらに当時の政治、経済、社会、文化的状況とつなぎ合わせることはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
前年度にし残した、ジャーマンタウンの全体像を把握するための調査をする。主として、ウィスコンシン州のウォータータウンの資料館を調査地とする。また、フォーティ・エイターズのドイツからの亡命経路を明確にするための史料調査を、ニューヨーク、ボストンなど東海岸の亡命者受け入れ地で行う予定である。主として、ニューヨーク歴史協会、マサチューセッツ歴史協会である。こうした調査の途中経過は、大学の紀要にまとめ報告する。
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次年度の研究費の使用計画 |
約100万円を、1か月の海外調査に支出する予定である。2週間はウィスコンシン州で調査をし、あとの1週間はニューヨーク市で、もう1週間はボストン市で、それぞれ史料調査をする。50万円は消耗図書費で、フォーティ・エイター、共和党など政党関係、奴隷制廃止運動などの書籍を購入する。残り、46,900円は雑費であるが、基本的に、調査地での史料複写に使う。
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