米墨戦争での獲得地に奴隷制度を拡大させないとする、1848年のフリーソイル党の政変は、南北戦争に至る一コマとして一国史の範囲で解釈されてきた。しかし、グローバル・ヒストリーの見地からは、18世紀中頃から19世紀中頃までの間に、北大西洋海域で作動した、ヨーロッパから周縁地域へのリベラリズムの波及と蓄積のメカニズムに注目される。アメリカでの奴隷制廃止運動のリベラリズムは、このメカニズムによって枠組みを与えられたもので、1850年代の共和党への再編過程もそれに左右された。実際には、1848年革命の特にドイツ系政治亡命者による、彼ら彼女らのターナークラブを通しての政治活動や文化運動が重視される。
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