研究課題/領域番号 |
23652186
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
草郷 孝好 関西大学, 社会学部, 教授 (30308077)
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キーワード | プロセス評価 / 国際情報交換 / ブータン / 地元学 / アクション・リサーチ / 地域活性化 / 生活の質 |
研究概要 |
本年度の研究実績概要は次の通りである。 ①地元学をはじめとする地域活性化の手法や政策の導入効果を測定するために構想した調査方法の実用を目指した。②具体的には、新潟県長岡市の川口木沢地区、兵庫県丹波市の青垣佐治地区、福井県福井市の殿下地区において、アクション・リサーチを展開した。③長岡市川口木沢地区では、住民自身が進めている地元学型地域活性化手法の導入効果を住民の豊かさを計測することによって確かめるという協働研究を行った。④丹波市青垣佐治地区では、佐治地域に関西大学が地域活性化支援拠点として設置した佐治スタジオ、佐治住民、関西大学学生との協働作業として、地域変容のためのアンケート調査、インタビュー調査を実施、学生による新聞作成、地域住民への配布などを行うことができた。⑤福井市殿下地区では、殿下地区が2011年より実施している福島県の被災者(小中学生)受け入れキャンプ事業を関西大学の学生や福井県内の学生を交えた協働を行い、同地区の地域活性化の必要性とアクション・リサーチの可能性について、意見交換を行うことができた。⑥愛知県長久手市や兵庫県但馬地域の地方自治体とのアクション・リサーチの可能性についても意見交換を行うことができた。⑦ブータンを訪問し、GNH指標の活用方法と地域づくりへの応用可能性や課題について、ヒアリングを行った。⑧初年度に続いて、生活の質、ウェルビーイング、幸福に関する文献研究と訪問調査によって「ブータンのGNH指標づくり」に関して、より理解を進めることができた。これを参考にして、兵庫県の長期ビジョンプロジェクトが取り組む豊かさ指標構築を支援した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新潟県長岡市川口木沢地区における調査の実施時期の遅れと欧米の事例調査に遅れが見られたが、それ以外の調査項目は、計画通りに進めることができた。丹波市における学生を交えての地域活性化のプロセス形成は、当初の計画の想定を超える成果として特筆できる。長久手市や但馬地域との交流も計画以上の成果である。また、ブータン訪問調査によって得た知見を兵庫県の指標形成などに生かしていくことができたのは、計画以上の成果である。以上の理由から、研究計画に沿って、研究に取り組んできたため、概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
①長岡市川口木沢地区で実施した地域活性化効果測定のための変容調査分析と論文作成、発表を行う。また、引き続き、地域発展のための様々な取り組みのもたらす社会への効果や影響について、地区住民同士で話し合ってもらえるように、本研究によるデータの分析結果を地域住民に還元する機会を設けるなどして、調査結果を地域発展に生かすためのアクションリサーチを推進していく。 ②また、福井、丹波、兵庫但馬地域、長久手とのアクション・リサーチを発展させていくように研究活動を展開していく。 ③次年度に使用する予定の研究費があるが、これは、プロセス評価の方法論や実践を学ぶために計画していた海外大学等の訪問延期によって生じた。海外(欧米もしくはアジア)のアクションリサーチ研究拠点をヒアリングし、研究成果を共有しつつ、ネットワーク形成を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、大きく次の4つの研究活動に活用する。①国内(長岡市、福井市、丹波市、兵庫但馬地域、長久手市など)における内発的な地域づくりに取り組む地域において、住民の主観に基づく生活変容調査や地域活性化のアクション・リサーチの研究活動の展開に活かす。とくに、研究代表者、研究協力者などの国内旅費、調査データ整理作業などへの謝金である。②海外のアクションリサーチ研究拠点または内発的な地域実践事例を訪問し、ヒアリング調査を行う。③研究成果の共有のために、研究論文作成(英文含む)や研究発表活動を展開する。④研究期間を通じて、必要な参考書籍・資料・文房具などの消耗品購入等を予定している。
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