本研究は、住民主体の地域活性化を促進するための内発的手法(地元学など)を導入することによって、地域住民の生活変容を分析することを主眼としてきた。3年間の研究活動の主な実績は、次のとおりである。 ①「地元学」手法をはじめとするさまざまな地域活性化の手法や政策の導入による当該地域社会への影響評価測定のために構想・開発中の「生活実感調査」の調査方法の確立を格段に進めることができた。②生活実感調査手法の確立にあたっては、新潟県長岡市K地区と福井県福井市D地区において、生活実感調査導入実験を複数回にわたり行うことができたため、同手法の実用可能性や効果についての検証を行うことができた。③生活実感調査の導入を含む住民主体の生活評価手法のアクション・リサーチを展開することができた。アクション・リサーチで重視している地域住民の主体性と地域変容へのフィードバックを確実なものとするために、地域組織(地方自治体、自治会、地縁グループ)との連携を蜜にすることができたので、アクション・リサーチを円滑に進めることができた。研究者が実践活動の際に注意すべき点についての知見を蓄積できた。④本研究で重視している地域に根ざした発展指標構築の視点を生かして、兵庫県の豊かさ指標構築に知見を提供し、同指標の作成を支援することができた。⑤学内外で研究発表を行い、生活実感調査手法の可能性に関しての貴重な意見を受けることができた。⑥国内のみならず、国際的な観点から、プロセス評価手法の1つであるエンパワメント評価手法、アメリカの人間開発報告書手法を確立した調査グループと研究ネットワークを構築することができ、生活実感調査や生活評価手法の成果共有の準備が整った。以上より、本研究が当初掲げた研究目的である地域活性化手法の評価とアクション・リサーチに関する研究活動を遂行することができ、期待される研究成果を十分に出すことができた。
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