研究課題/領域番号 |
23652192
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
増田 研 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (20311251)
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研究分担者 |
宮地 歌織 長崎大学, 男女共同参画推進センター, 助教 (40547999)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 医療人類学 / 国際保健 / 質的研究 / 量的研究 / 医療多元論 / アフリカ / エチオピア / ブルキナファソ |
研究概要 |
平成23年度の主な活動は文献調査および研究協力者のアフリカ派遣である。代表者の増田は主として文献調査を行い、文化人類学的な国際保健へのアプローチと量的研究アプローチの融合による多元的医療行動の把握について、理論的検討を行った。その成果の一部は公衆衛生分野の学術誌に掲載される予定である。また東京外国語大学において「人類学と公衆衛生」と題する国際集会を開催し、同分野における研究動向の最先端に関する理解を深めた。 研究分担者の宮地は、ケニアにおいて長崎大学が実施している人口動態調査(HDSS)の成果と人類学的知見を組み合わせる試みを行っている。とりわけ妊産婦の出産行動に見られる多元的医療状況の把握に努めた。 また研究協力者として長谷直美がブルキナファソに渡航し、マラリア(よおび熱病)罹患時の住民の治療希求行動の詳細を調査している。この調査はH24年度にかけて継続される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題はフィールドワークによる実証的検討と、文献調査を通した理論的検討によって遂行されるよう計画されているが、平成23年度は理論的な枠組みとアプローチに関する理論的検討が主たる作業となった。研究代表者と分担者はすでに収集されているデータの分析をしながら、多元的医療行動に関する文献との照らし合わせによって、その分析枠組みを整理する作業を行った。多元的医療行動に関しては主として文化人類学・医療人類学的アプローチによる成果が多数見られるものの、国際保健や公衆衛生といった分野において、文化的・社会的要因に重きを置いた分析はきわめて少ない。こうしたディシプリン間の断絶を明確に確認し、文化人類学的および民族誌的アプローチの導入の手法について具体的な検討を加えることが出来た点は意義深い。 代表者である増田はH23年度に計画されていたフィールドワークを次年度に行うこととし、その計画について慎重に検討を加えた。また西アフリカにおける多元的医療状況の把握を目的とし、研究協力者(長谷直美)をブルキナファソに派遣することができた。すでに検討されている調査手法および分析枠組みを適用することを目論んでおり、その成果が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度には、分担者を宮地から波佐間逸博に交代する。これは宮地の退職による措置であるが、研究課題とこれまでの成果はそのまま波佐間に引き継がれる。波佐間はウガンダ東部において牧畜民カリモジョンの生態調査に従事しており、当地における開発プログラムKIDDPによる現地の開発プログラムの実施について、その検討を行う予定である。 増田はエチオピアにおける保健普及員の活動と住民への啓発に関する調査を実施する。またブルキナファソにおいてマラリア治療希求行動の調査を行っている研究協力者はその成果を論文として執筆し公開する。
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度の主たる経費支出は旅費である。本研究課題における一方の重要な軸である実証的作業を行うため、エチオピアおよびウガンダにおける現地調査、およびそのデータの分析のために経費を支出する予定である。
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