研究課題/領域番号 |
23652197
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研究機関 | 関西外国語大学短期大学部 |
研究代表者 |
山森 靖人 関西外国語大学短期大学部, 英米語学科, 准教授 (50390133)
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キーワード | メキシコ / 先住民社会 / 近代化 / 民芸品 |
研究概要 |
2012年6月23日 研究発表(日本文化人類学会 第46回研究大会): 本科研費を活用した調査研究の中間報告として、「ウィチョール族社会における民芸品製作販売の変遷」のタイトルで研究発表。ウィチョール族の民芸品販売ルートの多様化と民芸品の質の変化を考察。民芸品の製作販売が一部のウィチョール族の生業となっている現状を報告。その一方で、民芸品製作販売がウィチョール族社会に恒常的な収益をもたらす産業へと成長する可能性が低い点を指摘。その要因として、ウィチョール族が自身の伝承文化の特質を民芸品に反映させていない点を指摘。 2012年8月16日~9月4日 メキシコ現地調査: メキシコシティ、およびオアハカ、アカプルコなどにてウィチョール族民芸品の販売現場を調査。主に民芸品販売店でのインタビューと文献資料収集を実施。ウィチョール族とは所縁のない地域においても彼らの民芸品が販売されている現状を確認。資金力を持つメスティソの民芸品販売業者によって、より洗練されかつより高価なウィチョール族民芸品が、ウィチョール族の居住地から遠く離れた地域において販売されている現状を把握。 2013年2月14日~3月3日 メキシコ現地調査: メキシコシティ、グアダラハラ、およびウィチョール族が居住するトゥクスパン・デ・ボラーニョス村、さらには、彼らの聖地であるレアル・デ・カトルセにてウィチョール族民芸品の製作販売の状況を調査。ウィチョール族居住地の近代化、すなわち資本主義経済の村への流入が急進していることを確認。ウィチョール族村落、および都市部の民芸品市場において民芸品製作者へのインタビューを実施。メキシコシティとグアダラハラでは文献資料収集を実施。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中間報告としての研究発表を実施することで、現地調査で収集したデータの整理を進めることができた。研究発表後、メキシコ、および他の地域を専門とする文化人類学研究者から民芸品調査研究についての有用な情報やアドバイスを得ることができた。 初年度の現地調査で得た情報に基づき、現地調査を実施する地域を予定よりも拡大したが、その結果、ウィチョール族の民芸品が多くの観光地において、メキシコを代表する民芸品として販売されている現状を把握することができた。 その一方、ウィチョール族自身が携わる民芸品の製作販売は、本科研費の調査研究開始当初に予想していたよりも発展性が乏しく、彼らに多くの収益をもたらしていない点が確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度は本科研費による調査研究の結果を最終報告の形にまとめることに注力する。 日本昔話学会の研究大会(2013年7月)において「神話を売る方法 ―メキシコ先住民ウィチョール族の事例報告」のタイトルで研究発表を実施する予定。 2013年8月には最終報告作成のために必要な情報、および再確認事項を調査するため、再度メキシコにて現地調査を実施する予定。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度については、メキシコ現地調査と成果発表、および最終報告の作成のために使用する計画。 8月にメキシコ現地調査の実施を予定。
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