本論文は近年地域、文化を越えて増え続ける性別違和(旧・性同一性障害)をケアするための病態論について著者のタイでの性別適合医療の臨床研修医実践などのフィールドワークを糸口に医療人類誌として記述することで性別違和の理解とケアのための基礎知識を明らかにした。性別違和の人々の物語からその病因を推定し医療人類学的に議論と考察を行い現在の性別適合医療の有効性について報告した。性別違和の語りは、ジェンダー発現が生来的に入れ替わっていること、そしてそれは普遍的な現象で有ると思われた。研究者はそこに病としての性別違和の[病理]を求めた。
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