本研究の目的は外国からの司法共助によらない電子的証拠収集・開示(「越境的電子証拠収集」)および訴訟提起前の電子的情報の高度な保存義務等の問題が、訴訟当事者および社会に訴訟コストの増加をもたらしている点を検討することにある。研究の実施方法として、平成25年度は、日本法、諸外国の法律上の検討を行うため、電子証拠に関する専門書とならんで、科学的証拠方法としても重要な生体情報に関連する書籍資料の収集を行った。 証拠収集の越境性に対するプライバシー保護を主としたセーフハーバー条項による対抗措置の問題とは別に、生体情報に関しては実質的に各国がバイオバンク等の(外国を含む)民間企業への情報提供等が行われており、電子化文書としての電子証拠とは異なった側面がみられる。 今年度予定していた現状把握の方法として、日本における越境的電子証拠収集およびそれに対する日本の対応の実務状況に関連した発表が含まれる学会へ出席し情報を収集を行った。また、企業のみならず大学の様な公的な機関における業における訴訟提起の予想時点での電子情報保存の必要性についての認識、米国訴訟提起のコスト、e-Discovery対応等について、セキュリティ規則等についても一部調査を行った。 平成24年度に引き続き電子的情報を取り扱う訴訟が日本の裁判所に提起された場合にどのように対応することが可能であるのか、裁判所における手続きの電子化についても考察を行った。
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