当該年度については、積極的にコンテンツ・ファンドの日本における適切な運用のための法整備について、具体的かつ有用な提言を行うという本研究の目的の達成のために、以下のような作業を行った。まず、投資会社や投資顧問会社、銀行、生命保険などにおける信託財産の運用担当者へのヒアリングを行い、それらの内容を発表のための研究ノートにまとめた。また、今年度は、オーストラリアにおける投資関連法の領域の急速な発展の原因を法制度的な視点から検討すべく、出張を行い、コンテンツ・ファンドに関する表示規制の違いなどや、社会的状況の違いなどについて、研究を行った。 研究の重要な意義として、コンテンツ・ファンドの規制にとどまらず、日本の投資関連商品については、情報公開のレベルにつき、曖昧で投資家あるいは商品設計者の自己責任による部分が大きく、極めて、世界的な状況からみると投資が行われにくい環境にあることが判明したことが、当該研究における基本的な成果であると言える。現在、中国、香港などの急速に米国型の法制度を取り入れていることから、日本のガラパゴス化現象は、残念ながらさらに進展する可能性がきわめて高いと言わざるをえない。 今後の研究の発展として、表示規制の在り方および訴訟をともなう法体系の整備につき、更に研究を重ねていくことができれば、日本型の法制度であっても、他国と異なる表示規制を行っていたとしても、経済的な発展は可能であることを証明していくことが有意義であると思われる。あるいは、日本が米国型の法規制を行いにくい環境にあることは明らかであることから、中国や台湾などの表示規制に関する情報をさらに集めていくことで、日本型法制度の整備につき、有益な示唆をえることができるものと考えている。
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