本研究はイスラーム政治運動の分析を通じた中東地域システムの理解を目的とする。これまでイスラーム政治運動は地域的な連帯と広がりを見せるグローバルな現象であると説明されてきた。しかし各々の運動を検討すると、国民国家の枠を超えて影響力を行使することは希である。4 名の研究協力者がそれぞれエジプト・ムスリム同胞団、ヨルダン・ムスリム同胞団、ヒズブッラー( レバノン) およびイスラーム急進派に関する研究を行ったところ、やはりその活動のほとんどは国境線の内側にとどまることが明らかになった。 したがって第一次世界大戦の戦後処理によって外生的に形成された中東諸国の国家体制は「人工的である」と評価されながらも、一方で国際政治におけるアクターとしての役割を果たしている。
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