研究課題/領域番号 |
23653054
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
内田 浩史 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (60294295)
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研究分担者 |
柳原 光芳 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (80298504)
金子 昭彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (10282873)
加藤 秀弥 名古屋経済大学, 経済学部, 准教授 (80434629)
篠崎 剛 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (80467266)
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キーワード | 教育の経済学 / 教育学 / 心理学 / 教育目的 / 教育制度 |
研究概要 |
本研究は、教育制度が経済・社会に与える影響について、経済学の枠組みに教育学・心理学・社会学の考え方を取り入れて分析することを目的としている。 平成25年度は、昨年度までに行ってきたサーベイならびに心理学の専門家から得た専門的知識に基づき、社会的スキルや道徳性といった概念を本研究で構築する教育の経済モデルに取り込む作業を行った。ただし、その過程で、既に研究の蓄積がなされているパーソナリティ心理学の知見を取り入れた経済モデルに関して、それとの差別化を図る上で検討が不十分な点が発見された。そこで、そうした経済モデルを批判的に検討しつつ、さらに心理学分野の知見を展望した。その結果、特に社会心理学分野の研究成果を取り入れる必要性があることが分かった。そこで、こうした批判的展望の成果を展望論文として取りまとめることとし、その作業を行った。ただし、こうした一連の作業は結果的にパーソナリティ心理学と社会心理学という心理学の大きな分野を広範に展望するものになり、当初の予想を超えた作業を必要とする結果となった。このため、この作業は次年度にも引き続き行うことになった。 ただし、上記の作業は本研究の最終目標である経済モデルの構築という点からすると、これまでにないメカニズムを組み込むうえでの正当化を行うためのものであり、モデル化そのものについては同時並行で進めることが可能である。こうしたモデル化については引き続き検討を行っており、たたき台となるモデルはある程度固まってきている。今後はそのモデルの改善に努め、最終的な成果につなげる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画においては、本年度は前年度の整理を踏まえ,具体的に経済モデルを構築することを計画していたが、上記のとおり、パーソナリティ心理学を取り入れた経済モデルとの差別化、社会心理学の研究成果の展望に関して当初予想しなかった作業が必要となった。このため、本年度の作業は当初計画よりはやや遅れている。ただし、上記の展望論文の執筆は進んでおり、また経済モデルのたたき台は固まっているため、次年度において当初計画通りの成果を得るよう努力する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、計画の遅れを取り戻しつつ、当初の研究計画どおりの成果を得るよう努める。具体的には、経済モデルに取り入れるべき社会心理学の知見に関する展望論文を早急に完成したうえで、そこで紹介した知見を正当化の根拠とした理論モデルを構築し、研究成果を得る。経済モデルの構築は、主として契約理論に依拠したミクロレベルのモデルと、主として人的資本論に依拠したマクロレベルのモデルとから成るが、それぞれたたき台となるモデルは固まっているため、精緻化を進めて完成させる。 また、それらの統合をはかったうえで、日本の教育制度の中での経済主体の行動を包括的に描写し、比較静学・比較動学による定性的な結論を得ることを可能とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費支出は、研究打ち合わせのための旅費に対する支出を中心とする。研究代表者・研究分担者の所属大学が神戸・名古屋・東京・仙台と離れて立地しているため、それぞれ分担して行った検討の結果を持ちより、統合して経済モデルを構築するため、全研究者によるミーティングを行う。 また、心理学を中心とした他分野の文献を購入するために必要な物品費、研究を進める環境を整備するための研究補助・事務補佐のための支出も行う予定である。
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