国際開発協力コミュニティーにおける「開発」目的議論が、所得消費貧困の減少(一辺倒)から、社会開発、人間開発へと拡大され、Post-MDGsを見据えて、「持続的な開発」や「開発と幸福」の主流化へ向かっていることを踏まえ、開発目的の多様化に取り組む初動的な研究(挑戦的萌芽研究)展開を目指した。初年度に、並走する基盤研究Aの海外学術共同研究ネットワーク(日本、中国、ベトナム、タイ、インドネシア、ブータン、ガーナ)から、研究者を招き、研究代表者が大会実行委員長を務めた国際開発学会第22回全国大会に合わせて、国際共同研究ワークショップを開催し、「開発目的」の多様化や「開発と幸福」に関する初動研究を展開することを確認し合い、本学会においてPlenary Session ‘Diversification of Development Goals under Globalization”を開催した。次年度にかけて、「国民総幸福」の開発哲学で有名なブータン王国王立ブータン研究所や首相直属のプロジェクトと恊働し、Post-MDGsへ向け、国際連合に対して「環境にやさしく、人々の幸福を中心に据える開発概念」に関する提案書を起草提出した。JICA研究所においてインドネシア共同研究者と、多様化する貧困•開発目的に即した諸開発指標の構築と、各種概念での貧困の決定要因分析の雛形を作成し”Measurements and Determinants of Multifaceted Poverty”として公刊した。次年度から最終年度では、これを含めて展開研究を進め、成果を国際学会等で発表してきた。最終成果は2014年末までに刊行予定の2冊組の英文研究成果出版 Globalization and Development (Routledge)の2冊目Vol.II: In Search of a New Development Paradigmに組み入れられる。また、グローバル化の中での成長、格差、貧困に関する諸国比較制度分析と開発目的の多様化の政策分析を統合させ、新国際開発協力時代を支える統合研究プロポーザルを創出した。
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