2014年度は、敷地間口の分布関数を理論的に導出し、敷地間口の最頻値、平均そして標準偏差と建物棟数密度の関係を理論的に明らかにした。また、実市街地を対象に、敷地間口の理論値と実測値の分布を比較し、ポアソンボロノイ領域の長さの分布関数を用いて敷地間口の分布を記述する妥当性を検証した。 その結果、間口の平均値や標準偏差は建物棟数密度から算出できることを示した。また、敷地間口の分布関数を閉曲線上におけるポアソンボロノイ領域の長さの分布関数としてモデル化すると、理論値に基づく敷地間口の分布は実測値に基づく分布よりもばらつきが大きくなる傾向にあることが判明した。 また、経済的な視点から人口分布と商業施設立地に着目し、両者の関係性を明らかにした.その結果、東京区部においては,高級店や格安店といった商業店舗の経済的ランクは近隣居住者の所得構成を強く反映しており、空間的により狭い範囲での影響が強いことが明らかになった。 また、多くの居住地区では近くに商業施設は量的には整っている一方で、商業施設の経済的なランクにも空間的な偏りが見られることにより、とりわけ高所得世帯割合の高い地区において低所得層が不便を強いられる可能性を指摘した。特に高所得層の流入地区においては生活環境の変化への配慮が必要になる.ただし,商業施設に関しては小型スーパーのような新しい形態の店舗がこのような地区での支えとして機能しうることも示唆された。
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