最終年度は、過去2年間で収集した資料の入力、および、分析する作業を行った。 当初、予定していた、ランダム化フィールド実験が、予算の不足で困難となったため、平成23年度に小口保険プログラムが導入されている村4ヵ村の調査を実施し、このデータを用いて、小口保険加入を阻害する要因、および、保険加入が健康におよぼす影響に関して計量分析を行った。その成果は、平成24年度の国際開発学会で報告したが、この段階では、まだ、予備的な調査研究の域を出なかった。 その後、平成24年には、さらに村の数を12か村に増やし、標本世帯を対象に家計調査を実施すると同時に、形成フィールド実験の手法を用いた小口保険ゲームに参加してもらい、保険加入の決定因とインフォーマル保険制度との関係、保険制度の導入がインフォーマル保険制度におよぼす影響について分析するためのデータを収集した。 平成25年度は、小口保険加入の決定因を分析するために、平成24年度に収集した12か村の資料を用いて、家計特性、医療機関の質、小口保険制度についての評判、社会的ネットワークなどを説明変数とし、質的選択法を用いた計量分析を行うと同時に、小口保険ゲームで得たデータを用いて、インフォーマルな保険制度の存在と小口保険制度加入率との相互連関について、計量経済学的な手法を用い検証する作業を行っている。 これらの分析作業の結果にもとづき、英文のディスカッション・ペーパーを作成し、国際開発学会、日本経済学会において報告し、そこでのコメントを参考に修正したうえで、国際的な学術誌に投稿する予定である。
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