本研究では不足が問題となっている分娩取扱医師の需要・供給および分娩取扱医療機関集約化によるアクセス時間の延長についてシミュレーションを行い、(1)現在の分娩取扱医療機関は多すぎ、医師の稼働率は低い。そのため、現在の医療機関配置を所与とすると、分娩取り扱い医師は絶対数が不足している、(2)分娩取扱医師の供給を大幅に増やすことは人口の年齢構造による制約があり難しい、(3)医師の稼働率を上げるために分娩施設の集約化を行えば医師不足は解決できる。しかし地域によっては集約化によるアクセス時間の増加が医療安全上の許容範囲を超える可能性があるため、全国一律の基準での集約化は難しい、という結論を得た。
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