研究課題/領域番号 |
23653085
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
西村 佳子 京都産業大学, 経済学部, 教授 (90319442)
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キーワード | 確定拠出年金 / 雇用主の行動 / 加入者行動 / 金融資産選択行動 |
研究概要 |
本年度は2013年度夏より在外研究で他の研究テーマに取り組むために、本研究は一時中断して休止状態であった。中断中は、本研究と同様のテーマについてカナダの状況について研究を行っている。 カナダの年金制度は公的年金が2階立てで、その上に私的年金(公的部門や一般企業が提供する職場年金や税額優遇退職年金勘定)がある。厚生年金加入者の半分以下しか3階部分を持たない日本の状況に対して、カナダの労働人口世代の納税者の約8割がこれらに加入しているため、カナダの年金制度は3階立てであると説明されることが多い。年金給付段階における日本の年金制度との顕著な違いは、年金支給額に占める私的年金の比率の高さである。年金支給額に占める3階部分の重さから考えると、カナダの公的部門や企業が従業員に提供する3階部分の制度をどのように選択・設計するか、従業員(個人)が3階部分をどう運用するか、という問題の重要性は日本よりも高いと言える。 現在、カナダの連邦政府と有力州グループの間で、公的年金の拡充について激しい論戦が行われている。3階部分への依存の問題点として、現在の消費を重視する層が加入しない(実際に若年層の加入比率の低さが問題になっている)、企業が3階部分を提供することによる事務コストや教育コストが非常に大きい、といった問題が指摘されており、その内容は日本で生じているものと同様である。このように、日本と同様の問題に直面するカナダの企業はどのように私的年金を選択しているのか、また金融知識のレベルが高くないと言われる確定拠出型企業年金や税額優遇退職勘定の加入者は、はどのように年金を運用しているのかといった問題について研究することは、本研究に新たな視点と展望を与えると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この研究の目的は、これまでほとんど明らかになっていなかった確定拠出年金導入企業側の行動に焦点を当てた分析を行うことである。(1)確定拠出年金導入企業がどのような判断で確定拠出年金を導入したのか、(2)加入者動向をどう把握し何を問題にしているのか、(3)認識した問題に対してどのような対策を取り、制度設計を行っているのかなどの問題について分析を行い、今年度は研究のとりまとめを行う予定であった。しかし、2013年度夏より在外研究で、同様の研究テーマについてカナダの状況について分析を行う研究に従事しており、本研究のとりまとめ作業は次年度に延期することになった。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度の研究の方針は、厚生労働省から非開示とされたデータを、本研究期間中に開示してもらい利用することは諦め、現在利用できる集計データを用いて研究のとりまとめを行うことである。代わりに、カナダでの研究成果を取り入れて本研究の充実を図る予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度夏より在外研究に従事するため本研究は休止状態にあり、研究費の使用も僅かであった。一方で、連携研究者と連携を取り合って2014年度の研究再開の準備を行っている。 連携研究者と連携を取り合って2014年度の研究再開の準備を行っている。研究費は、研究の発表のための旅費、論文の公開にかかる費用に使用する予定である。
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