本研究では,企業の確定拠出年金提供に対する姿勢と提供される選択肢の関係について分析を行った。他の退職給付制度からの資金の移換がなく,確定拠出年金の導入時期が遅く,担当者が熱心でかつ熟練度が高く,従業員数が少ない企業は,バランスの良い資産メニューを提供する傾向があることがわかった。さらに,聞き取り調査の結果からは,金融資産メニューの採択においてメインバンク・系列企業の意向を反映させるなど,加入者以外の主体の利益を考慮するなど,企業型確定拠出年金が必ずしも“加入者のための年金”ではない可能性があることが示された。
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