西欧経済史から学ぶべき最大関心事の一つは、近代工業がもたらす急激な経済成長期以前に、緩慢だが着実な経済発展が起った要因であろう。しかも、それは成熟した市民社会を導く都市の歴史と重なると考えられる。こうした西欧独特の経済史について都市の成り立ちから探究し得られる知識は、現代社会の有様を知り、行く末を見通す上で大きな拠り所となる。本研究では都市の流通・生産を支える公共施設、それを管理する政府の動向に着目しながら、公権力(公式)と市民の経済生活(非公式)双方の論理が融合する理想的な市民社会のルーツを探る実証研究法の確立を目指している。
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