研究概要 |
平成24年度においては、(1)持株会社の経営成果を測定する際に用いる尺度の選択、及び、(2)該当する尺度の得点分布の把握を予定していた。(1)については、一定の成果を得ることができ、(2)については、現在、進行中である。(1)については、平成23年度に、株価指標と会計指標を用いた類似研究が行われていることをサーベイした。しかし、更なる既存研究の検討の結果、(a)株価指標の場合、その指標の示すものは、あくまで将来収益についての株式市場の予測であって(滝澤ほか, 2012)、今回の経営成果の測定尺度としてはふさわしくないこと、(b)ROAなどの会計指標を用いる場合、個別企業の財務ポリシーなどによって、指標にバイアスの生じる可能性があり、付加価値指標である事業利益などを用いた方が望ましいとの議論(中谷, 1983)のあることが分かった。尺度の選択作業については、研究結果を左右する重要事項であるので、引き続き、慎重に行っていく予定である。(2)については、尺度得点の分布を把握する準備段階として、持株会社をリストアップするために、持株会社数を調査した既存研究のサーベイを行った。これらの既存研究によると、上場企業については、おおよそ1割弱が、持株会社形態を採用しているようである。また、下谷(2009)に従って、持株会社数を数える作業を行った(2012秋)。この調査によると、下谷(2009)の調査と比較して、純粋持株会社と確認できた数は265→276へと、11社増であることが分かった。現在、抽出された純粋持株会社全体についての記述統計を整えるための作業を、継続中である。また、「現在までの達成度」においても述べるが、「持株会社とは何か」についての理論研究を、詳細に行うことが不可欠であることが分かり、継続中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記で述べた課題解決のための「持株会社の定義」の研究、並びに実証分析手法の検討のための図書費(20,000円)、実証分析に利用するデータの収集のための日経テレコン利用料金(100,000円)、これまで収集した論文等の資料整理のためのファイル類(10,000円)、調査・報告のための旅費(25,5000円)、データベース作成や資料整理のための補助業務のための人件費(60,000円)、そして、最終年度であるので、一般向け広報のためのパンフレット作成費(55,000円)を計上している。 なお、次年度使用額(B-A)は、「該当なし」である。
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