研究課題/領域番号 |
23653095
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
伊丹 清 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 教授 (20176275)
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キーワード | ジェネリック医薬品 / 後発薬 / ジェネリック医薬品メーカー / 医薬品卸業 / 医薬品卸企業 / 製薬業界 / 製薬企業 |
研究概要 |
アンケート調査に先立ち調査項目を精査するために引き続き、医薬品卸売企業や県の薬事関連の部署に聞き取り調査を行った。前年度から1年近くの時間をかけ行った聞き取り調査は、調査項目の精査を主目的とするものであったが、先発薬メーカーによるジェネリック医薬品への参入とジェネリック医薬品メーカーとの提携・買収、先発薬中心の医薬品卸企業のジェネリック医薬品の取扱いと買収・合併といった再編、先発薬及びジェネリック医薬品メーカーによる原薬メーカーの買収や新興国への進出といった前年度の結果に加え、ジェネリック医薬品の普及状況の地域差が人口や有力ジェネリック医薬品専業卸企業の存在といった多様な要因が関係している可能性が推察されるなど十分意義のあるものであった。とりわけ、国際的に大手製薬メーカーによる原薬メーカーの買収が進行し、日本向け原薬供給が難しくなりつつあり「原薬の安定供給」が喫緊の課題であることが判明した。 以上の聞き取り調査を踏まえアンケート項目を精査するとともに、研究計画当初は想定していなかった、インドとの経済連携協定(EPA)のジェネリック医薬品業界への影響や、東日本大震災の影響、具体的対応策、今後の対応策の有無等を含めたアンケート用紙を3種類作成した。そして、「一般社団法人日本ジェネリック医薬品販社協会会員企業」(81社 平成24年11月16日発送平成25年1月15日締切)、「日本医薬品卸業連合会構成会員企業」(88社 日本ジェネリック医薬品販社協会重複加盟企業を除く 平成24年11月16日発送平成25年1月15日締切)、「後発薬製造販売承認を得ている企業」(194社『月刊ジェネリック』2012年8月号収載 日本国内に拠点のない企業を除く 平成24年12月6日発送平成25年1月30日締切)」に送付した。現在、回収期限後も回答をいただいた企業を含め集計を終え、分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一昨年、研究計画作成時点では予想もできなかった、東日本大震災とそれに伴う福島第1原発事故が発生し、聞き取り調査範囲、震災の影響等の聞き取り調査内容等の研究計画の見直しに時間を要し、聞き取り調査に当初予定していた以上の時間が必要となった。くわえて、研究計画当初は想定していなかった、インドとの経済連携協定(EPA)のジェネリック医薬品業界への影響や、東日本大震災の影響、具体的対応策、今後の対応策の有無を含めるなどアンケート項目の精査、作成にも想定以上の時間を要した。また、昨年度新たに追加した各都道府県の個別事情等に関する薬事関連部署へのアンケート調査は、厚生労働省の「平成24年度までに後発医薬品の数量シェア30%以上」という目標が難しくなったこともあり、次なる国の施策の動向を踏まえた調査とするため25年度に行うこととした。(なお、厚生労働省から「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」(平成25年4月5日)が出され、平成30年3月末までに後発医薬品の数量シェア60%以上という新たな目標設定がなされ、その数量シェアも後発医薬品に置き換えられる先発医薬品及び後発医薬品をベースとするものに変更された。)以上のような理由から、研究の進捗状況は現在やや遅れ気味となっている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に基づき現在集計を終えているアンケート調査の分析を早急に進める。なお、必要に応じて追加の聞き取り調査を行うことを考えている。 また、ジェネリック医薬品メーカーに対する聞き取り調査により判明した「原薬の安定供給」という喫緊の課題については、原薬輸入商社や業界団体である日本医薬品原薬工業会などに聞き取り調査等を行い、原薬供給サイドから原薬調達の現状及び今後の課題を探り、アンケート調査結果の補足を行いたいと考えている。 さらに、各都道府県のジェネリック医薬品の普及率の格差縮小はさらなる普及に向けた大きな要因のひとつであると考えられ、厚生労働省「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」(平成25年4月5日)等国の今後の施策を踏まえ、各都道府県の個別事情等について薬事関連部署へのアンケート調査を行い、普及率の違いの原因を明らかにすることを考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
「原薬の安定供給」という喫緊の課題について原薬輸入商社や業界団体である日本医薬品原薬工業会などへの聞き取り調査等を中心に、アンケート調査結果に関わる補足の聞き取りならびに厚生労働省、日本ジェネリック製薬協会等業界団体に対する最新の動向に関する聞き取り調査、及び各都道府県の個別事情等についての薬事関連部署へのアンケート調査に関わる経費として使用する。
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