研究課題/領域番号 |
23653099
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
西脇 廣治 県立広島大学, 経営情報学部, 教授 (30140859)
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研究分担者 |
赤岡 功 県立広島大学, 公私立大学の部局等, その他 (10025190)
平野 実 県立広島大学, 経営情報学部, 教授 (00405507)
井村 直恵 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (10367948)
朴 唯新 宇部工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20435457)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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キーワード | オメガ(Ω)型経営 / 日本的経営 / テキスト分析 / 経済性 |
研究概要 |
長期の景気低迷とグローバル化の下、経済各方面で規制緩和が進み、先端的企業は従来の日本的経営を変革し、上場廃止や完全子会社化等、従来日本では稀有な方法を果断に採用し、収益性の向上と経営のスピード化を図っている。そしてその成功モデルが、変容されつつ他の企業に伝播し、日本の経済社会に重大な影響を与えつつある。この新たに現れつつある「従来の日本的経営の一部を保ちつつ、市場原理の貫徹度を強める経営」を「オメガ(Ω)型経営」と名付ける。その特性は部分的には捉えられているが、全貌はまだ不明である。この新モデルの姿と登場しつつある過程を、探索的に調査する上では、従来の財務分析手法の他、近年飛躍的に進歩してきているテキスト分析を実施する。 平成23年度の主な業績は、次の通りである。第一、「オメガ(Ω)型経営」の全貌を把握するために、既存の日本的経営の特徴である終身雇用、年功序列、企業別組合などと、市場原理の貫徹度を強める経営の特徴である短期雇用、成果主義、完全子会社化、戦略的提携などの構成概念の変遷を日経BPマーケティング社が発行する「日経ビジネス」の1997年から2010年までの雑誌をテキストデータ化し、テキスト分析を行った。その結果、日本的経営に関連する単語の出現頻度が下降気味であり、成果主義や完全子会社化、戦略的提携などに関連する単語の出現頻度が増加傾向にあることを確認した。その研究成果は朴と井村により2012年3月に県立広島大学で開催された日本労務学会関西部会例会で、「現れつつあるΩ型経営:2000年代の日本的経営における成果主義についてのテキスト分析」という題目で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画では、「オメガ(Ω)型経営」企業の分析、「オメガ(Ω)型経営企業は現れつつあるのか?」についての分析、「オメガ(Ω)型経営の有効性」についての分析することを目的にしていたので、「おおむね順調に進展している」と言える。具体的に、日本企業のROIC情報を用いて「オメガ(Ω)型経営」の候補企業群を選別し、オメガ(Ω)型経営企業の全貌を明らかにするために、「日経ビジネス」の1997年から2010年までの雑誌記事をテキストデータ化し、日本的経営と市場原理の貫徹度を強める経営の構成概念の変遷を比較検討した。
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今後の研究の推進方策 |
最後の課題である「オメガ(Ω)型経営の有効性」を明らかにするためには、企業業績(ROIC)と「オメガ(Ω)型経営」との関連性について精査する必要がある。そのためには、「オメガ(Ω)型経営」を構成する構成概念の変数化とテキストデータの期間拡張(1990年から1996年まで)が課題である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は日経ビジネスの雑誌記事のテキストデータ化作業が日経ビジネスの全文を人力でチェックするという作業となったため、予定していたよりも時間がかかっている。そのため、半年間期間を延長して取り組むこととする。
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