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2011 年度 実施状況報告書

社会関係資本を通して見た企業不祥事の実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 23653103
研究機関日本大学

研究代表者

稲葉 陽二  日本大学, 法学部, 教授 (30366520)

研究分担者 金光 淳  京都産業大学, 経営学部, 准教授 (60414075)
北見 幸一  北海道大学, その他の研究科, 准教授 (90455626)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード企業不祥事 / 企業統治 / 社会関係資本 / ソーシャル・キャピタル
研究概要

平成23年度は、(1)上場企業組織、役員データベース作成、(2)企業不祥事研究会を実施した。(1)上場企業役員データベースの加工は、地方証券市場、新興市場を含めた全上場企業の1990年、2000年、2010年時点での全役員データベースを作成。2000年と2010年時点での全役員の勤続年数、役員在任年数、社長については社長在任年数を算出した。東証1部の主要企業についてはROA、負債比率付加価値率、売上高成長率、付加価値率(過去11年平均)を算出した。社長在任期は2010年で東証一部8年9ヵ月、二部9年8ヵ月、地方市場9年10ヵ月、新興市場12年であり、新興市場が東証一部よりも大幅に長期であるが、全般に2000年よりは短くなっていることが明らかになった。(2)企業不祥事研究会は、1.本研究グループにおける「全体および今年度の具体的な研究方法等についての打ち合わせ」、2.小俣光文氏(明治大学)テーマ「日本の監査制度における不正への対応について」、3.斎藤憲道氏(同志社大学)テーマ「活力を生む経営管理システム―内部統制システム構築のあり方―」、4.沼上幹氏(一橋大学)テーマ「組織の"重さ"―日本的企業組織の再点検」、5.末永敏和氏(龍谷大学)テーマ「会社法ならびに金融商品取引法からみた企業不祥事の考察」、6.関孝哉氏(コーポレート・プラクティス・パートナーズ株式会社)テーマ「議決権行使に関する規制等をめぐる欧米の動向」を講師として招き、計6回開催した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

企業を社会関係資本により、凝集性と外部への開放性の2つの観点から4つに分類するため、企業に関しては10年間平均ROA、成長指数売上高(最近年)、負債比率(最近年)、付加価値率(過去11年平均)を算出した。役員データに関しては勤続年数、代表権者の累積在年数、代表権者の平均在年数を算出した。上場企業データベースは1990年、2000年、2010年の役員数のべ約130,000人分であり、さらに一人につき50項目を超える膨大なもので、データクリーニング、加工に予定以上の時間を要した。企業不祥事研究会を計6回開催した。企業不祥事に関する識者と本研究班による質疑応答を多く行い、活発な議論のもと、それぞれ企業不祥事の現状と企業内外の問題点等について言及した。

今後の研究の推進方策

平成24年度夏までに企業組織及び役員データベースを完成させ、SPSSによる統計解析に入る。これらをもとに、企業組織を凝集性と外部への開放性により4タイプに分類する。この類型化には、経営者を中心とした組織の凝集性と外部との接触状況の評価のため、平成23年度に作成した従業員勤続年数、役員の累積在籍年数、平均在籍年数等を用いる。企業の社会資本を分析することにより、不祥事発生の可能性と不祥事のタイプを予測できるという仮説のもと、企業組織について分析をさらに進める。さらに企業不祥事については、1.製品・サービスの問題か、2.企業・組織の問題か、3.規範逸脱型不祥事か、4.対策不備型不祥事か、の4つに分類する。対象企業は2007年までの企業不祥事事典採録案件(150件)と、2008年以降は日経新聞掲載の企業不祥事とする。さらに、平成23年度より構築してきた客観的なデータに加えて、経済雑誌などに掲載された企業関連の記事を用いて、定性的な判断も加える。企業組織内部のネットワークの在り方(社会関係資本)を分類し、その観点から定量的に実証を行うことによって、企業が直面する潜在的リスクの分析が可能になる。これにより企業の内部統制システムの構築に資する斬新な方策を提供し、リスク管理について新たな分析法を提供すべく本研究を進める方針である。企業不祥事に関する現状や問題点等を議論するため企業不祥事に明るい識者を招聘し、研究会を開催する。

次年度の研究費の使用計画

人件費:上場企業組織及び役員データベース作成、社会関係資本に基づく企業分類・分析、企業不祥事事例の資料・データ収集のためアルバイト雇用予定。研究会を開催し、識者を招聘して企業不祥事の事例、企業不祥事の現状、企業組織の問題点等について意見交換を行う。研究会開催費:2回開催予定(講師謝金・交通費等、会議費等)、研究分担者の研究会出席のための交通費等。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ライフスタイル・カテゴリーのペルソナ化を利用した三部グラフモデル:ハイ・ファッション・ブランドの選択構造2012

    • 著者名/発表者名
      金光 淳
    • 雑誌名

      京都マネジメントレビュー

      巻: 第20号 ページ: 93-109

  • [学会発表] "Japanese Inter-corporete Networks Transformed"2012

    • 著者名/発表者名
      Jun Kanamitsu
    • 学会等名
      International Sunbelt Network Conference 27
    • 発表場所
      Redondo Beach, California, USA
    • 年月日
      2012, Mar,15
  • [学会発表] 「ブランド危機における高ロイヤルティ顧客の重要性」2011

    • 著者名/発表者名
      北見 幸一
    • 学会等名
      日本広告学会, 第42回全国大会
    • 発表場所
      近畿大学
    • 年月日
      2011年11月13日
  • [学会発表] 「地域企業の不祥事と信頼回復要因に関する研究」2011

    • 著者名/発表者名
      北見 幸一
    • 学会等名
      日本広報学会, 第17回研究発表大会
    • 発表場所
      東京経済大学
    • 年月日
      2011年10月23日
  • [図書] ソーシャル・キャピタル入門(第8章 社会関係資本のダークサイド)2011

    • 著者名/発表者名
      稲葉 陽二
    • 総ページ数
      198
    • 出版者
      中央公論新社

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公開日: 2013-07-10  

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