本事業は、日本中小企業による国際マーケティングの現状と課題について明らかにすることを目的としている。対象は主として繊維産業であり、調査はフィールドワークによる事例研究として行った。 本事業による主な研究実績は、パリで開催された二つの国際学会での報告である。 一つは、昨年度、すなわち2012年に開催されたEuropean Business History Association(EBHA)の第16回年次大会兼EBHA・経営史学会の第一回共同大会)であり、論題は「Using Strategic Networking to Develop Advantageous Business Institutions: International Textile Marketing of Japanese SMEs」であった(8月31日に報告)。 この研究は、これまでほとんど分析が及んでいなかった日本の繊維産業を事例に、産業における制度的条件とネットワークとの関係を整理するとともに、中小企業が国際マーケティングを行うことの意義と課題を明らかにしたという意義を持つ。 もう一つの報告は、最終年度、すなわち2013年に開催されたEuropean Association for Evolutionary Political Economyの第25回年次大会であり、論題は「Role of contexts and conventions in firms' resource selection and mobilization」であった(11月9日に報告)。 この研究は、トレンドを発信する企業とそれに追随する企業とでは、経営資源を選択・活用する行動に違いがあることを明らかにし、日本の繊維中小企業が行うべき経営資源の選択・活用について考察した。
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