本研究の最終ゴールである定量的ピクチャマイニングに関する研究を行う前に定性的ピクチャマイニングにおいて克服しなければならない課題が研究過程で発見された。そのため、平成25年度以降はこれらの課題解決のための研究を中心に進めてきており、定性的ピクチャマイニングがどのような領域において有効であるか、サンプル収集やデータ分析の方法論、マーケティングにおけるピクチャマイニングの重要性について研究を進めてきた。 平成26年度は、平成25年度に出したこれらの研究課題に対する成果を公表することができた。定性的ピクチャマイニングが有効な領域としては、新商品開発、ライフスタイル分析そしてデザイン分野が強い領域においてその有効性を確認することができた。サンプル収集はオープンなデータ収集方法では精度が下がることが確認されており、クローズドあるいは親密度が高いサンプル集団の必要性が指摘される。写真データ分析については、客観性を保つために研究チーム以外のメンバーによる分析を行うことで対応したが、科学的根拠に乏しい研究になっており、さらなる方法論的研究が必要である。また、マーケティングにおけるピクチャマイニングの重要性については、近年のマーケティングの変化を捉えながら、今後のピクチャマイニングの発展可能性について議論し、その成果を公表した。 さらに平成26年度は、定量的ピクチャマイニング研究の基礎となるような研究も行うことができた。近年、大きく変化している写真調査環境に関する定量的調査を実施した。若者の写真投稿意識及び写真投稿アプリであるInstagramの利用状況について調査を行い、精度の高い写真回収のための方法やサンプリングについての知見を得ることができた。
|