本研究は,財務報告における環境負債情報の開示水準を規定する要因を解明するための理論モデルの構築と定量分析を実施し,3つの主要な研究成果を得た。(1) 環境負債情報の開示実務が,行政機関による環境汚染の規制に依存して形成されるモデルを構築し,企業活動から生じた汚染が放置される可能性を示した。(2) 環境負債認識における債務性概念の形成が,企業の資金調達におけるコミットメント戦略から影響を受けるモデルを提示した。(3) 環境負債に関する会計規制が経営者インセンティブを変更し、環境汚染規模を拡大する可能性があることを示した。
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