研究課題/領域番号 |
23653121
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
辻 竜平 信州大学, 人文学部, 准教授 (40323563)
|
研究分担者 |
長谷川 孝治 信州大学, 人文学部, 准教授 (20341232)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 文化資本 / 社会関係資本 / クラシック音楽 / クラシック音楽祭 / 参加者調査 |
研究概要 |
本研究は,文化資本と社会関係資本の関連性を,クラシック音楽の音楽祭にかかわる人々を対象とした社会ネットワークの研究によって明らかにすることを目的としている.平成23年度は,まず6月に研究協力者を含めて全体の研究会を一度開催し,予算規模を踏まえて向こう3年間の予定を修正・確認した.その後は,メーリングリストなどを通して平成24年度の本調査に向けて準備と小規模な調査を行った.具体的な研究内容としては,第一に,本調査に向けて,文献の講読と資料整理をメンバー各自で行いながら,折に触れて講読した文献の内容をメーリングリストを通じて相互に紹介している.第二に,3月に安曇野市の協力を経て,画家と音楽家の好みに関する小規模な調査を行うことができた.現在このデータを分析中であるが,ブルデューが『ディスタンクシオン』で行った曲名の好みの調査と違って,音楽家については「知らない」という回答が少なく,クラシック音楽の嗜好に基づいた文化資本尺度としてより好ましい性質を持っているようであることがわかってきた.また,本研究はクラシック音楽に対象を絞っていたが,ブルデューが『ディスタンクシオン』で用いた画家のデータも取ることができたので,『ディスタンクシオン』で行った調査との比較も行っている.コレスポンデンス分析の結果を見る限り,フランス人と日本人の嗜好のパターンにはある程度の類似性があることがわかってきた.このような結果をふまえて,本調査の調査票での音楽家リストの改良(あまり知られていない音楽家を入れ替えたり,類似度の高いとみなされた音楽家を削除するなど)を試みている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では,平成23年度に,文化資本尺度の開発,ネットワーク・バッテリの開発,インタビュー調査を行う予定であった.しかしながら,申請額に対する交付額が少なく,予定していた予備調査を行うことができなかった.文化資本尺度については,安曇野市の協力のもとで辛うじて調査が実施できたので一定の成果を上げたが,ネットワーク・バッテリの開発とインタビュー調査については平成24年度に持ち越さざるをえなかった.
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,夏の音楽祭の期間中に本調査を行う予定である.それまでに,音楽祭の事務局などへの聞き取りを行い,調査票の作成を行う.現在のところ,本調査は大きく2本ないし3本立てで,オーディエンスを対象とした調査を音楽祭期間中に行い,期間終了後に,ボランティアを対象とした調査を行う予定である.交付申請時は,24年度には対照群として一般の人々を対象とした調査も行う予定であったが,交付額が少なく有効なデータが取れない可能性もあるので,夏休みまでに調査の実施について検討が必要である.いずれの調査も初秋ごろには終わると考えられるので,それ以降は,データの分析を行う予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は,計画していた調査を一部しか実施できなかった.また,会合も1度限りとした.その分を平成24年度に回して,本調査(オーディエンス調査とボランティアの調査が中心)の費用に充てることにした.しかし,それでも当初の本調査の申請額に満たないため,本調査自体も内容や規模を縮小せざるをえない.ともあれ,平成24年度も,会合の回数などは切り詰めながら,多くを本調査の実施に当てる予定である.
|